素晴らしい知識との出会いは、いつも突然です。そのありがたい出会いには、感謝の気持ちしかありません。その出会いこそ、読書する喜びなのです。
そして、そんな知識達との付き合いは、一生です。
多くの異性と付き合えば、浮気者と軽蔑されるかもしれません。でも知識はどうでしょう。多くの知識と付き合ったとしても、軽蔑されることは少ないと思います。むしろ尊敬されるでしょう。
今回、紹介する本は、私が浮気で購入したようなものです。セールスライティングを勉強していて、「言葉」に興味を持ったため、「言葉」についての本を探していたら、突然「言語学」の本に出会ってしまい、衝動的に買ってしまいました。
コミュニケーションの勉強になりますし、面白かったので紹介いたします。
『「言葉」を知れば、人間関係はうまくいく!』です。
目次
なぜ人間関係はうまくいかないのか?
人間関係を円滑にするためには、コミュニケーションが重要です。それはわかっていますが、何故かうまくいかなくて悩んでいる方も多いと思います。
私もコミュニケーションについては、いろんな角度から勉強しているため、今まで、このブログでもコミュニケーションの学びに関連する本は、何冊か紹介してきました。
例えば、相手の自尊心を大切にしながらコミュニケーションを取るなら、「人を動かす」が参考になると思いますし、カウンセリングのテクニックで、相手の言葉に逆らわず、良好なやり取りをするなら「セラピスト誕生」が参考になります。相手に響く言葉を使って、相手を動かすなら、「「LABプロファイル」で人を動かす! 」が勉強になります。
「コミュニケーション問題で困ったことがあったときにどうすればいいか?」参考にすべき本なら、この3冊があればいいかなと思ってましたが、世の中にはまだまだ別の切り口があるものです。
それが、言語学です。
では、言語学がどうコミュニケーションに役立つのでしょうか。
押さえておくべし!4つの公理
グライスの協調原理
協調の原理というのは、会話の中で私たちが無意識のうちに守っている原則のことです。
以下の4つの公理があります。本書の説明を「」内に引用しつつ、紹介します。
①量の公理
「必要とされている情報を、多過ぎず、少な過ぎず、適切な量で与えよ」とのことです。
1の質問に対して、10の答えを返してきたりすると、うざったく感じませんか。あるいは、質問に対して答えになっていないケースも、答えになっていないとイライラしますよね。
②質の公理
「間違っていると思うこと、確証がないことは言わないようにせよ」とのことです。
おつり200円のところ、200万円と言われたらうざいでしょと例えられてました。相手の言っていることが嘘だとわかり、相手が嘘だとわかっていて言っていたらその人を信じられませんよね。
③関連性の公理
「会話の目的に関係があること、話題に適切な話をせよ」とのことです。
これは、例えば、「昨日どうだった?」と質問したのに「さっきの人かっこいいよね」と答えられたケースのことです。気持ち悪いですよね。
④様態の公理
「明確に、あいまいさを避け、簡潔に、順序良く話なさい」とのことです。
「明日来れる?」
「微妙だね・・・」
「(どっちなんだよ!)」
こんなやりとりのことです。これもイラっと来ますよね。
言語学から学ぶ!会話は4つの公理を守って話す
私たちは、この4つのルールにしたがって話されることを期待しているわけです。
だからこそ、ルールが意図的に違反されたとき、聞き手は違反された理由を推測するため、「何かあったんじゃないか」といった誤解が生まれるわけです。そういう誤解が、コミュニケーションがうまくいかない理由なのですね。
※実際はグライスの公理だけでは足りないようで、「関連性理論」というものがあるようです。
ご存知ですか?言葉の指紋
他にもこの本で、面白かったのが、法言語学という分野です。
言葉というのは、使っている人の特徴が良く表れるものらしく、書き方、使う言葉、文の作り方、こういう言葉の要素の組み合わせは、指紋のように一人一人違ってくるらしいのです。
まったく知りませんでした。
どんな言葉の後に「、」打っているか、どんなときに改行しているか、あるいは改行していないか、こういった要素が指紋のように、一人一人違うようです。
AIと法言語学が組んだら、本当に悪いことができない時代が来るのかもしれませんね。
日本語と英語の視点の違い
日本語と英語の視点の違いによる言語の表現の違いについても興味深い話がありました。
どういうことかといいますと、説明するのは難しいので、本書で、例としてあげれられていた、川端康成氏の『雪国』を引用してみましょう。
■日本語
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。
■英語
The train came out of the long tunnel into the snow country.The earth lay white under the night sky.
気づきましたでしょうか?
なぜ英文では汽車(電車)が主語になっているのでしょう。日本語にはそもそも汽車という言葉は、書かれてません。日本語は、汽車が主語ではないのです。あえて言うなら、汽車に乗っている人が主語のように伝わっていると思います。
この違いは、日本語と英語の視点の違いから来るそうです。私は英語がなかなか覚えられないので、もしかすると、視点の違いを勉強すると覚えが早くなるのでしょうか・・・謎ですね。
「言葉」を知れば、人間関係はうまくいく!:まとめ
コミュニケーションの上達に言語学を!
たまたま気になって購入した本から得た情報は、はまりそうな予感がするほど知らない知識ばかりでした。言語学の本ですが、物語形式で語られているのでわかりやすく、1日で読み終わる量なので、集中して読むことができました。
本書の最後の方で、著者によって、各言語学(法言語学、社会言語学)についての推薦書が紹介されていますので、よりどっぷりとつかりたい方は、推薦書を読まれるといいと思います。
法言語学なんて、できるようになったらかっこいいですね。文章を見ただけで、誰だかわかってしまうなんて、「俺の前で悪事ができると思うなよ」って感じですね。
さて、最後になりますが、この書籍は紙の本がなく、電子書籍でしか読めないようです。電子書籍をご利用中の方ならクーポンを使えば、お安く購入できるかもしれませんので、興味があったら読まれてはいかがでしょう。
コミュニケーション能力を上げるにあたって、言語学という角度から学ばれるのも、面白いと思いますよ。