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例えば「〇〇してください」と頼み事をしたいとします。しかし、「そっちの仕事でしょ」と返事されてしまい、結局自分がやる羽目になることがあります。
こういうとき、どうしたら上手に相手を動かせるのでしょうか? 上手に相手を動かせる方法があれば、知りたいものです。
その、上手に相手を動かせる方法の一つとしてNLP(神経言語プログラミング)の言葉の使い方があります。
NLP(神経言語プログラミング)というものがどんなものであるかは、心理学が好きな方なら聞いたことがある人もいると思います。素人が簡単に使いこなせるものではないのですが、素人でも使いやすようにまとめられている本がありました。「〇〇してください」ではなくどう言えばよいのか。この本から学べる言い方なら、上手に相手を動かせそうです。
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目次
仕事や日常で使える7つの心理法則
7つの心理法則って何?
本書で学べる心理法則は次の7つです。細かい理論説明が省かれていて、事例中心になっているため、すぐに使いやすいワザがたくさんあります。今の自分に必要なワザから使うとよいでしょう。
①相手に受け入れてもらう「会話」の法則 | 相手に伝わりやすい言葉選び、さりげなく共感させるワザ |
②相手の本音を理解できる「質問」の法則 | ほしい情報を的確に手にするためにはどうような質問が効果的か |
③相手を動かす「誘導」の法則 | 相手が自然に行動を促すように働きかける誘導話法、ミルトンモデルの事例 |
④心を整理する「視点」と「五感」の法則 | 視点の捉え方や五感を巧みに使いこなして、より自分らしいマインドで毎日を過ごすには? |
⑤ひとまわり成長する「手放し」の法則 | 役に立たない思い込みを取り払う方法 |
⑥過去と未来を活用する「時間軸」の法則 | 脳には過去も未来も関係なし。そのメカニズムを今の生活に役立てる |
⑦なりたい自分になれる「成功」の法則 | NLPのスキルを使って、なりたい自分になれる方法 |
後述しますが、「〇〇してください」ではなくどう言えばよいのかについては、③の相手を動かす「誘導」の法則で学べます。
NLPの8つの前提
NLPには「前提」という基本的な考え方があるとのこと。それは次の8つです。
①現実は変えられなくても受け止め方や行動は変えられる
②コミュニケーションで大切なことはあなたが受け取った反応にある
③すべてのことは五感を通じて受け止め、五感を通じて表現している
④物事を達成するために必要なものはすでにあなたに備わっている
⑤あなたが知覚しているものと実際のものとは違う
⑥私たちはすべて価値ある存在。そのうえで感覚と言動の質が問われる
⑦すべての行動には肯定的な意図があり、活かせる場所がある
⑧物事に失敗はない!私たちはすべて成功している
NLPのさまざまなスキルは、この8つの「前提」に基づいているわけです。例えば④などは、「自分の問題は自分で解決できるよ」ということだと思いますし、⑧の「物事に失敗はない!私たちはすべて成功している」と言われると、自信がない方でも希望を持つことができるのではないでしょうか。
ミルトンモデルとは
ミルトンモデルをご存知でしょうか? 本書では以下のように説明されております。
NLPの代表的な言語モデルに”ミルトンモデル”があります。ミルトン・エリクソンの”催眠療法”における言葉や非言語の使い方を体系化したものです。
【ミルトンモデル】
直接的な表現を使わないで相手の無意識のアクセスし、新しい役に立つビリーフを構築していくモデル。催眠療法家ミルトン・エリクソンの言葉の使い方がモデル。仕事や日常で使える7つの心理法則(P102)
ビリーフとは、Beliefと書き、信条、信念、思い込みと訳されるものです。次にミルトン・エリクソンについての説明を見てみましょう。
ミルトン・エリクソン(催眠療法家)
アメリカ人の精神科医。心理療法家。アメリカ臨床催眠学会の創始者。催眠によってクライアントに抵抗感を与えずに問題を解決し、クライアントが自らが行動できるよう働きかける治療法です。仕事や日常で使える7つの心理法則(P17)
ミルトン・エリクソンは、私が尊敬する催眠療法家です。「心理学を勉強した人で、ミルトン・エリクソンが嫌いな人はいないのではないか」と思うくらい素晴らしい人なのです。エリクソンの治療実績を知ると「誰よりも人の生きる力を信じていた人なんだな」ということが伝わるのが素晴らしいです。どうやって治療すればいいのかあきらめてしまいそうな患者も、ミルトン・エリクソンは一見すると「なぜ?」というやり方で治療してしまうのです。
ご興味がありましたら、ミルトン・エリクソン関連の書籍を読んでみてください。(発達心理学のエリクソン=エリク・ホーンブルガー・エリクソンと間違いやすいのでご注意ください)
本当に「どうすれば、そんな治療方法を思いつくのだろう」と感動のあまり泣いてしまうくらい人間を観察する力が凄いのです。そんなミルトン・エリクソンが使用していた話法がミルトンモデルです。
分かりやすい!ミルトンモデルの使い方と例文
本書では、そんなミルトン・エリクソンの話法「ミルトンモデル」が使いやすく紹介されてます。そのうちの1つで、使いやすくて私が多用しているものを紹介します。
①埋め込まれた命令
「相手を誘導したい内容」+「をしてくれたら」+「うれしいなぁor助かるなぁ」
例文:「明日の朝までにプレゼン資料が揃っていると助かるなぁ」
「明日の朝までにプレゼン資料揃えておいてください」よりいいですよね。冒頭の「〇〇してください」よりもい言い方が、この言い方です。おそらく、割と使っている人が多い言い方だと思いますが、その効果を意識して使っている方は少ないと思います。明日からは意識して使ってみましょう。
②否定命令
「相手にやってほしいこと」+「をしなくていいからね」
例文:「特に急がなくていいからね」
こう言ってみましょう。大抵、早くやってくれることが多いことに気づかれると思います。もちろん全部が全部、通用するわけではございませんが、かなり多くのやりとりで成功しています。
③自分の状況をほのめかす⇒相手が察知してなんらかの行動をする
例文:「この部屋暑くない」⇒「冷房の温度下げますね」と相手がエアコンをつける。
「喉が渇いたな」とつぶやいたらお茶が出てきたことがありませんか? 言われてみると、たしかに相手がなんの抵抗もなく動いてくれている気がします。
ほんの少し言葉を変えるだけ
上下関係があれば我慢するしかないですが、普通なら命令されれば頭にくるでしょう。ミルトンモデルも命令であることにかわりはないのですが、たくみな言葉の使い方で、相手の意識には命令を隠し、相手の無意識に命令を伝えるのです。無意識ですから、相手の意識は命令されていることに気づいてません。
ほんの少し言葉を変えただけでそれができるのです。
ミルトンモデルのような言い方を意識的に利用することで、コミュニケーションが楽になります。「〇〇してください」ではなく、「〇〇してくれると助かります」と言うこと。このテクニックを知ってからは、言い方を直してますが、かなり効果的だと実感してます。本当にあまり抵抗されず、「はい」という返事が聞けるからです。夫婦関係がこじれている方は、ご主人様あるいは奥様に「〇〇してくれ」と命令してませんか? だとしたら、その言い方をミルトンモデルに変えてみてはいかがでしょう。
このような言葉のテクニックは一つでも多く使いこなして、少しでも楽な人間関係を築きましょう。生きている上で何よりも大事な時間を、睡眠、仕事以外に何に使うべきか。少なくとも、人間関係に悩む時間として使いたくないと思いますがいかがでしょうか。
仕事や日常で使える7つの心理法則:まとめ
言葉を変えるだけでなく自分も変える
本書は、NLP理論の小難しい理論説明を抜きにして、使いやすいテクニックをわかりやすく説明されている本ですが、もし、NLP理論をきっちり勉強したい場合は物足りなく感じると思いますので、別の書籍を読まれた方がいいと思います。しかし、理論の勉強よりも、コミュニケーション能力を高めるためにNLPの技術に興味があるなら、本書を読まれた方がよいと思います。
しかし、変えるのは言葉だけでいいのでしょうか。
昨日まで、無礼者で大嫌いな人間が、いつもは「してください」と言ってくるのに、今日は「していただけると助かります」と言ってきたとして、その人に好感を持ちますでしょうか? 私は、そんな簡単に嫌悪感は変わらないと思います。言葉を変えただけで、今までの無礼をチャラになんてできないからです。
変えるのは言葉だけでなく、自分の人間性も変えなくてはなりません。態度や考え方、人との接し方、そういう当たり前のことができている土台があるからこそ、言葉を変えた効果が現れるのだということを自覚する必要があります。
とは言っても、普通に社会人しているなら、その当たり前のことはできている人がほとんどでしょう。そんな当たり前のマナーができている方こそ、ほんの少し言葉を変えただけで、人間関係がよくなる本書のテクニックをお試しされてはいかがかなと思います。
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