例えば「〇〇してください」とお願いしたとします。もちろんそれは、相手がやるべきことだからお願いしたのです。
しかし、「そっちの仕事でしょ」と返ってきたおかげで、何故か自分がやる羽目になってしまうことがあります。
こういうとき、どうしたら上手に相手を動かせるでしょう。おそらく「今日、相手が動いてくれなくて困ったことを思い出してみてください」と質問したら、一人くらいはいるではないでしょうか?
そんなコミュニケーションの難しさを、クリアできるとすれば方法があれば、知りたいもの。そして、その方法の一つとしてNLPがあります。
聞いたことがある人は多いと思いますが、簡単に使いこなせるものではないのはご存知のとおりですが、割と使いやすくまとめられている本があったので紹介したいと思います。
「仕事や日常で使える7つの心理法則」です。
目次
NLPの基本的な考え方
NLPの8つの前提
NLPには「前提」という基本的な考え方があるそうです。どんな考えでしょう。
①現実は変えられなくても受け止め方や行動は変えられる
②コミュニケーションで大切なことはあなたが受け取った反応にある
③すべてのことは五感を通じて受け止め、五感を通じて表現している
④物事を達成するために必要なものはすでにあなたに備わっている
⑤あなたが知覚しているものと実際のものとは違う
⑥私たちはすべて価値ある存在。そのうえで感覚と言動の質が問われる
⑦すべての行動には肯定的な意図があり、活かせる場所がある
⑧物事に失敗はない!私たちはすべて成功している
NLPのさまざまなスキルは、この8つの「前提」に基づいているわけです。私は、すぐに理解できませんでしたが、例えば④は、自分の問題は自分で解決できるよということだと思いますので、希望が持てますね。その証拠に⑧で励ましてくれてます。よくできた前提ですね。
ミルトンモデルとは
ミルトンモデルをご存知ですか?
ミルトンモデルについては本書でこんな説明があります。
NLPの代表的な言語モデルに”ミルトンモデル”があります。ミルトン・エリクソンの”催眠療法”における言葉や非言語の使い方を体系化したものです。
仕事や日常で使える7つの心理法則(P102)
ちょっとあっさりとした説明ですが、本書はわかりやすい文庫なのでこの程度でいいのです。
ミルトン・エリクソンは、私が尊敬する催眠療法家です。「心理学を勉強した人で、ミルトン・エリクソンが嫌いな人はいるのかな」と思うくらいかなり素晴らしい人なのです。
どういったところを、尊敬しているのかというと、私がごときが評価する恐縮なのですが、「きっと、誰よりも人の生きる力を信じていた人なんだな」ということが、エリクソンの治療実績を通して伝わるところです。
ご興味がありましたら、ミルトン・エリクソン関連の書籍を読んでみてください。(発達心理学のエリクソン=エリク・ホーンブルガー・エリクソンとは違いますのでご注意ください)
本当にどうしてそんな治療方法を思いつくのだろうと感動のあまり泣いてしまうくらい人間を観察する力が凄い方なのです。そんなエリクソンが使用していた話法ですから、興味があります。
分かりやすいミルトンモデルの使い方
本書では、そんなミルトン・エリクソンの話法「ミルトンモデル」が使いやすく紹介されてます。そのうちの1つで、使いやすくて私が多用しているものを紹介します。
①埋め込まれた命令
「相手を誘導したい内容」+「をしてくれたら」+「うれしいなぁor助かるなぁ」
例文:「明日の朝までにプレゼン資料が揃っていると助かるなぁ」
「明日の朝までにプレゼン資料揃えておいて」よりいいですよね。おそらく、割と使っている人が多い表現だと思いますが、意識して使っている方は少ないと思います。明日からは意識して使ってみましょう。
②否定命令
「相手にやってほしいこと」+「をしなくていいからね」
例文:「特に急がなくていいからね」
こう言ってみましょう。大抵、早くやってくれることが多いことに気づかれると思います。もちろん全部が全部、通用するわけではございませんが、かなり多くのやりとりで成功しています。
③自分の状況をほのめかす⇒相手が察知してなんらかの行動をする
例文:「この部屋暑くない」⇒「冷房の温度下げますね」と相手がエアコンをつける。
「ああ、喉が渇いた」とつぶやいたらお茶が出てきたことがありませんか?言われてみると、たしかに相手がなんの抵抗もなく動いてくれている気がします。
ミルトンモデルをコミュニケーションに活かそう
上下関係があれば我慢するしかないですが、普通なら命令されれば頭にくると思います。ミルトンモデルも命令であることにかわりはないのです。でもたくみな言葉の使い方で命令を隠して、相手の無意識に命令が伝わってしまうのです。
ほんの少し、言葉を変えただけなのに・・・です。
相手は命令されていることに気づいてません。こういう言い方を意識的に利用することで、コミュニケーションが楽になります。いや、ほんとにそう思います。
こういう言葉のテクニックは一つでも多く使いこなして、少しでも楽な人間関係を築きましょう。生きている上で何よりも大事な時間を、睡眠、仕事以外に何に使うべきか。少なくとも、人間関係に悩む時間として使いたくないものです。
仕事や日常で使える7つの心理法則
本書は、NLPの小難しい理論説明を抜きにして、使いやすいテクニックをわかりやすく説明してくれています。もし、理論をきっちり勉強したい人には物足りないと思いますので、別の書籍を読まれた方がいいと思います。
一方で、自分の日々の生活や職場のコミュニケーションの中で、ほんのちょっと工夫することで楽になりたいのでしたら、難しい理論のNLP本を読むよりかは、実用的な本だと思います。
「〇〇してください」ではなくて、「〇〇してくださると助かります」と言えばよかった。それを学んで、今は言い方を直してますが、割と効果的だなと思ってます。
上司とトラブル前に読んでおきたい本でした。