職場の誰かに無礼な態度を取られているあなたに質問です。無礼な態度を取る人を避けるために仕事に使うべき時間を奪われている人が、どの程度の割合いると思いますか?
その答えを知ったとき、職場の礼節がいかに大切にされていないかを実感しました。それに、無礼者が周りに与える悪影響を、数値として考えたことがありませんでしたので、何気にショックでした。おそらく自分の過去の態度も、相手に対して無礼だった可能性があり、反省してます。
そんな礼節について、勉強させらた良書を紹介させていただきます。
目次
今こそ礼節を大切にしよう
無礼な人が与える損失はでかい!謝罪だけではすまされない
なぜ、礼節が大切なのでしょう。冒頭の質問の答えも気になるでしょうから、著者が長年かけて調べた無礼者の影響度を引用したいと思います。
無礼な人間が害になるのは、医療費が高くなり、病欠が増えるからだけではない。17の業界の800人の管理職、従業員を対象に、私が同僚のクリスティーン・ピアソンとともに実施した調査では、職場で誰かから無礼な態度を取られている人について次のようなことが言えるとわかった。
・48パーセントの人が、仕事にかける労力を意図的に減らしている。
・47パーセントの人が、仕事にかける時間を意図的に減らしている。
・38パーセントの人が、仕事の質を意図的に下げている。
・80パーセントの人が、無礼な態度を気に病んでしまい、そのせいで仕事に使うべき時間を奪われている。
・63パーセントの人が、無礼な態度を取る人を避けるために仕事に使うべき時間を奪われている。
・66パーセントの人が、自分の業績は低下していると答えている。
・78パーセントの人が、組織への忠誠心が低下したと考えている。
・12パーセントの人が、他人の無礼な態度が原因で転職をした経験があると答えている。
・25パーセントの人が、無礼な人にストレスを感じたせいで顧客への対応が悪くなることがあると答えている。Think CIVILITY(P17)より
いかがでしょう。ひどい話ですねこれ。私は無礼者がこんなにも悪影響を与えているとは知りませんでした。冒頭の「無礼な態度を取る人を避けるために仕事に使うべき時間を奪われている人」はなんと63パーセントもいるのです。会社にとっては、損失でしかありません。
一体、会社は無礼者を雇う意味があるのでしょうか?
これほどの損失を与えるなら、雇わない方がいいと思ってしまいます。どうせ無礼は直らないでしょうから、教育する必要もないと思います。経費が無駄です。
一方で、この数値は、自分の無礼が他人に対し、どのくらい悪影響を与えてしまっているかという、側面があることも忘れてはなりません。人の無礼だけ改めさせるのではなく、自分の無礼も改めなければなりません。当然、礼儀正しく接する必要があります。
では礼儀正しく接することで、どんなメリットがあるのでしょう?他人に迷惑をかけないことだけなのでしょうか?
いえいえ、そうではありません。
礼節を守ると得られる3つのメリットとは
他人に迷惑をかけないだけでは、礼儀正しさをキープし続けることが難しいかと思います。周りが無礼者だらけなら、なおさらです。
では礼節があるなることで、どんなメリットがあるのでしょう。本書では以下の3つがメリットと言われています。
①仕事が得やすい
②幅広い人脈が築ける
③出世の可能性が高まる
う~ん・・・正直な気持ち、私は「②幅広い人脈が築ける」以外は興味がありません。「①仕事が得やすい」っていうのは起業している方ならメリットかもしれませんが、会社員なら無駄に仕事が増えただけのデメリットのような気がします。(このように考えしまうのは、私がゲスな証なのでしょうか)
たしかに礼節がある人は、仕事が得られるかもしれません。でも仕事が得られるからと言って報われるとは限りません。それがサラリーマンの悲しいところ。せめて、礼節のある人だけでも、報われる世の中であってほしいものです。
無礼を改めよ!礼節ある人が守る3つの原則
そんな礼節のある人が守る3つの原則があるそうです。次の3つの原則を守れば、礼節のある人の仲間入りです。
①礼節のある人は笑顔を絶やさない
②礼節のある人は相手を尊重する
③礼節のある人は人の話に耳を傾ける
どこかで聞いたことがあると思ったら、カーネギーと同じことを言ってますね。やっぱり上記3つの要素は不変的なのでしょう。
とは言っても、現実的なこととして、上記3つがパーフェクトな上司がいますでしょうか。飲み会で上司の自慢話を聞きながらお世辞が言えて、上司の前でバカ騒ぎできるような人が出世しやすい世の中です。上記3つの要素が評価されて出世し、誰かの上司になってる人は少ないのではないでしょうか。
やはり会社の仕組みも考えないといけません。では、どんな仕組みならいいのでしょうか。
日本の会社は礼節のある会社になる4つのステップを取り入れてほしい
本書では、礼節のある会社になる4つのステップが紹介されています。それは次の4つのステップです。
①採用
②コーチング
③評価
④改善
もう少し説明すると、①無礼な人を採用しない、②礼節をコーチする、③礼節の高さを評価する、④無礼ならフィードバック(改善しないなら解雇)とのことです。詳細は本書を読んでいただくといいでしょう。
当たり前のように思えるかもしれませんが、この①~④が出来ていない会社は多いと思います(あなたの会社はどうですか?)
もし礼節の高さが出世の評価に含まれるとしたら、わざわざ国がストレスチェックを義務づけなくてはならないような世の中にはなっていなかったでしょうね。今からでも遅くないので礼節のある人が報われる仕組みが出来てほしいものです。
Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である:まとめ
今までも、そしてこれからも、きっと人間関係の悩みは尽きないでしょう。そしてたった一人の無礼者のために、「何故自分が気を使わなくていけないのか」「何故自分だけがコミュニケーション力を磨く努力をしなくてはいけないのか」そう挫けてしまうこともあるかもしれません。
でも、なんとかそこで挫けず、自立した行動を目指したいものです。礼節は、相手が礼儀正しいから自分も礼儀正しくし、相手が無礼だから自分も無礼にするというものではないと思います。相手がどういう態度であろうと、自分が人として人にどう接したいか、どうあるべきなのか、自分が主体となり、態度を決めるものだと思うのです。
自分が誰かを傷つけないためにも、礼節のある人になるべく、上記3つの原則を守ることが始めてみます。たまたま読んだこの本で、礼節の大切をあらためて学ぶことができたのはラッキーです。数値的な説明は説得力がありました。
この本を何冊か購入して、私が思う無礼者の机の上にでも置いておきたいものです。でもきっとその行動は無礼なのかもしれません。