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通勤途中のある駅で毎朝見かける目の不自由な若者サラリーマン。混雑していて決して安全とは言えない駅構内を、点字ブロックを頼りに軽快に歩く姿は、いつも私に勇気をくれます。
しかし、そんな彼が歩く点字ブロック上には、しょっちゅう邪魔になるものがあるのです。スマホ見ながら、夢中になっている人、わかってますか?
そこへスタスタと杖を使いながら、若者が来ます。ぶつからなきゃいいけど・・・。
目次
点字ブロックの歴史について
点字ブロックの発明者は三宅精一氏
ここで点字ブロックの話なのですが、「そういえば、点字ブロックは一体誰が作ったのだろう?」という疑問が生まれました。そこで、少しだけ調べてみましたが、いろいろとわかったことがあります。
こちらの記事「点字ブロックの歴史」によると、点字ブロックを作った人は、三宅精一氏であり、友人を想い私財を投げうって発明したようなのです。しかも、なんと、まさかの日本発です。そんな三宅氏のおかげで今の点字ブロックがあるのです。
「私財を投げうってまで、人のためになることができるか?」と、自分に問いかけても答えが出せません。というか、問うまでもなく、自分にはできません。三宅氏の行動は、私の想像をはるかに超えて尊いのです。
でも、その尊い行いが無になるような「点字ブロックの課題」があるのはご存知でしょうか?
点字ブロックの問題点
日本視覚障害者団体連合の記事「点字ブロックについて」や、書籍「点字ブロック―日本発 視覚障害者が世界を安全に歩くために」によると、点字ブロックには、次のような問題があるようです。
点字ブロックは車椅子やベビーカーなどの障害になる
車椅子やベビーカーの邪魔になるとのことです。車椅子はわかりますが、ベビーカーのことまで考えなくていいのではないか?と思うのは、私が男性だからでしょうか。
ベビーカーで点字ブロック上を横切るだけなら、それほど苦ではないように思います。乗り越えために力にがいるのでしょうか。ベビーカーを押している人にしかわからない、私の想像を超えるような障害があるのでしょうか。
考えても、まったくわかりません。
私も娘をバギーに乗せて点字ブロックを横断したことありますが、一瞬ガタついたくらいです。まさかガタつきで子供が起きてしまうなんてことが苦情になってたりしませんよねぇ。少し気になりましたので、調べてみました。すると、こんな意見がありました。
車椅子の方にとっては、次のような意見があります。
①凹凸でキャスターの向きが変わるため、進行方向が定まらない。
②振動のため、体位が安定しない
②屋外にある場合は雨天時に滑りやすい。
これは、わかる気がします。この点は三宅氏が生きていたら同じように悩んだことでしょう。
次にベビーカーを使用している方です。
①ベビーカーにつまずいて、ベビーカーごと倒れたことがある。
②ブロックの凹凸の振動でせっかく寝た子が起きてしまう。
ありました、点字ブロックの凹凸で子が起きるという意見が・・・。
残念ですねぇ、目の見えない人にとっては命にかかわることなのですが、ご理解いただけないのですね。三宅氏に聞かせたくない意見です。でもきっと三宅氏なら、真摯に耳を傾ける気がします。
点字ブロックの種類にバラつきがある
点字ブロックも景観を意識してデザイン優先になり種類が増えてしまったようです。目の見えない人のためにあるのに、目が見える人の意見が尊重されているようですね。
黄色という色だって、弱視の方が識別しやすいようにと配慮されているようです。しかし、景観を意識して他の色も開発され、識別しずらい色もあるとのこと。
景観については理解できないわけではないですが、本当に大事にすべきは弱視の方にどう映るかだと思うのですが、私はズレているのでしょうか。
点字ブロック上には自転車などの障害物がある
点字ブロック上に障害物を置く。これが最大の問題でしょう。点字ブロック上で自転車が放置されていることがあります。目が見えない人たち専用の道で、彼らが障害物を避けなくてはならない世の中、一体どうなっているのですかね。
私財を投げうった三宅氏に対して、申し訳ない気持ちになるような課題ばかりです。
点字ブロック上の邪魔にも負けないたくましさ
点字ブロック上でスマホに夢中になっているサラリーマンに、杖で足元を確認しながら歩く若者が近づいていきます。「ぶつかるか」と思いましたが、若者は慣れているようで、立ち止まり一礼しました。サラリーマンも気づいて避けました。避けただけで謝罪してませんでした。
若者は、何事もなかったように歩みます。「なぜ、若者が謝るのだ?」見ていて、怒りが沸きました。でもそんな私より、若者の器は大きいのです。若者は自分が悪いと思ったから謝罪したのでしょう。障害があるとか関係なく、人としての礼儀で謝罪してたのでしょう。自分の価値観で行動されている証拠です、頭が下がります。
目が見えなくても、自分たちの専用の道に障害があっても、避けながら前に進むその姿。点字ブロック上でも混雑した駅の構内を歩くのは大変なのに、ハンデを感じさせないその姿。
なんて、たくましく美しい生き方なのでしょうか。
それに引き換え、点字ブロック上で邪魔してしまっていて、ぶつかりそうになっておいて謝罪なしの人。えらそうなことを言っておきながら、実は助けに行っていない私。
美しさがないなぁ・・・。
情けないですが、今の私は何もしてあげれません。だから、せめて点字ブロックの上で邪魔しているものがあったら、退かすようにしようと思います。