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文章表現は形容詞で上達するんじゃない!自分の言葉で上達するんだ!

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文章を書くとなりますと、さまざまな悩み、問題がありますが、そのひとつに「自分らしい言葉で書けない」があります。

自分らしい言葉とは何か?
例えば、漫画ワンピースのMr.2 ベンサム(ボンクレー)の「~よう」という語尾や、Mr.3ギャルディーノの「~ダガネ」という語尾のことでしょうか。
それも自分らしい言葉ですが(というより個性かな)、文章を書く上での自分らしいとは、誰もが使う表現を使わないことでしょう。

誰もが使う表現とは何か?
その一つは、形容詞です。多い、少ない、美しい、可愛い、おいしいといった誰もが意味を知っている言葉です。
今回は、その形容詞を使わず別の言葉で表現する方法について、参考になる本を紹介させていただきます。

形容詞を使わない 大人の文章表現力

自分らしい文章表現、いかに形容詞を言い換えるか

「形容詞を使わない 大人の文章表現力」は、文章表現での形容詞を避けて、別の表現を使いましょう。そうすれば表現力が向上しますよと言ってる本です。

本書では形容詞を、会話で共感を示すときには便利でも、文章で目に浮かぶように説明にするには不向きな品詞と考え、文章においては「形容詞を避けることが表現力向上の基本」であると考えます。

形容詞を使わない 大人の文章表現力(P7)

では、なぜ形容詞を避けた方がよいのでしょうか?

形容詞:問題となりがちな3つの発想

形容詞には、次の3つの発想が問題となりがちだからです。

①概括性:大雑把な発想
②主観性:自己中心的な発想
③直接性:ストレートな発想

例えば「①概括性:大雑把な発想」ですが、「すごいよね」と言われても、どうすごいかわからないという問題があります。言ってる本人がすごいと思っているだけで、聞いてる方はすごくないかもしれません。
「②主観性:自己中心的な発想」ですが、「休みが多いよね」と言われても、どのくらいの頻度で「多い」と言ってるのかわかりません。言ってる本人が多いと思っているだけで、聞いている方は少ないと感じるかもしれません。
「③直接性:ストレートな発想」ですが、自分の好きなものを相手から「嫌いだ」とストレートに言われたらとカチンとくる人も多いでしょう。「嫌い」をやわらげる別の表現を使った方がいいかもしれません。

そこで本書では、第1部(1~3章)で「大雑把な発想を排する」方法、第2部(4~6章)で「自己中心的な発想を排する」方法、第3部(7~9章)で「ストレートな発想を排する」方法を示されています。

第1章 あいまいさを避ける [限定表現] すごい、おもしろい、やばい。よく使う言葉ですが、どう「すごい」のか、どう「おもしろい」のか、どう「やばい」のか、あいまいです。そこで、具体的な表現を使い、より相手に正確に伝えやすくなることについて、例示されている章です。
例えば、「やばい」には良い・悪いの両方の意味がありますので、どっちの意味であるか正確に伝える必要があります。
P14に「やばい」のあいまいさを言い換えた例がありすので引用します。
例)デパ地下のスイーツがやばい(本書P14)
デパ地下のスイーツがほんとうにおいしい/さらに進化している
デパ地下のスイーツの質がおちている/安全面に問題がある
第2章 個性を持たせる [オノマトペ] オノマトペとは擬音語(音に似せた言葉)・擬態語(事物に様子をそれらしく表した言葉)のことです。(風がビュービューとか涙がシクシクなど)形容詞の代わりにオノマトペ使うことで、豊かな表現ができるようになることを例をまじえて解説されている章です。
第3章 詳しく述べる [具体描写] かわいい、すばらしい、怖い。これらもよく使う言葉ですが、語彙が貧困になります。もっと他の言葉で表現できれば、語彙が豊富になるとのこと。私は本当に自分の表現可能性を放棄していたなと反省しました。今までの自分に謝りたいです。
P88の「怖い」を言い換えた例を紹介します。
例)仕事がうまくいきすぎて怖い。
仕事がうまくいきすぎて、いつか失敗するのではないかと不安だ。
第4章 明確な基準を示す [数量化] 多い、少ない、さまざま、いろいろ、おおぜい、たくさん、数~、いくつか。これらの言葉は書き手の主観的な表現のため、誤読になりがちだから具体的な数量で伝えましょうという解説の章です。
例えば、「~多い」も具体的な数で伝えれば、人によって受け止め方が違うのはよくある話。しかし、普通にやりとりしている限り、さらっと流れてしまうところであるのも事実です。まずは、大人なら論文やビジネス文書、小学生なら作文をなるべく数量で書くところから始めたらいかがでしょうか。
第5章 事情を加える [背景説明] 「忙しい」とか「難しい」などの言葉は、そのままでも伝わりますが、背景や状況を伝えた方がよいと説明されている章です。自分らしい表現をするためというよりかは、相手への配慮のためとのこと。
たしかにただ「忙しい」と断られるよりかは、理由があった方が納得しやすいですね。
第6章 出来事を用いる [感化] 「はかなさ」「せつなさ」という言葉をできる限り、出来事として描写しようとのことです。
形容詞は出来事の結果として生じた感情なので、その感情を表したければ、結果の原因となった出来事そのものを書くしかないのです。(P164)」原因(出来事)と結果(形容詞)という、わかりやすい説明の仕方がお見事で、こういう説明ができるようになりたいものです。
第7章 表現を和らげる [緩和] 「好きだ」「嫌いだ」「まずい」という言葉を、別の表現を使い、やわらかな表現にできることをさまざまな例を通して解説してくれてます。P169~170の例を下記に引用しますが、否定表現は、よく使われる表現な気がします。みなさま大人な表現されているのですねぇ。
例)マヨネーズは嫌いです。
⇒マヨネーズが好きではなくて(否定表現)
⇒マヨネーズが昔から食べれなくて
⇒マヨネーズが体質に合わなくて
第8章 裏から迫る [あまのじゃく] 「くだらない」「つまらない」こういう言葉は相手だけでなく、第三者も不快にしてしまうことがあるため、あまのじゃくの発想に立ってポジティブなものの見方をしましょうと解説している章です。
第9章 イメージを膨らませる [比喩] 「大きい」「小さい」という言葉も、どれくらい「大きい」か「小さい」かイメージつきません。そこで、何かを基準にして表現することでわかりやすくなることがあります。
例)東京ディズニーランドは東京ドーム11個分、ディズニーシーは10個分の大きさです(P221)

第7章は、「not A but B」と「否定表現」という単なる形容詞の言い換えではない文章表現のテクニックが例示されており、個人的に気づきが多い章でした。

青島刑事の名台詞:「not A but B」

まずは、「not A but B」。「Aではない」とい言うことで、次の文脈を期待させる効果です。
例示では、「消せるボールペンは字が消えるのではない。摩擦熱によってインクの文字が無色になるだけなのだ(P176)」とありましたが、少し例が悪いので、この表現のよさがいまいち伝わりません。
私は、絶対に次の表現の方が「not A but B」らしいと思います。

「事件は会議室で起きているんじゃない! 現場で起きてるんだ!」(踊る大捜査線 THE MOVIE

名作「踊る大捜査線 THE MOVIE」のクライマックスで、青島刑事(織田裕二)が叫んだ名台詞です。どうでしょう、「not A but B」の表現で、青島刑事らしい印象的な言葉になってると思いませんか?

槇原敬之の「もう恋なんてしない」:二重否定表現

次は否定表現です。しかも、二重に否定する表現方法です。次の文章が例としてとても魅力的です。

「もう恋なんてしないなんて、言わないよ絶対」(槇原敬之氏「もう恋なんてしない」)

前半の恋をし「ない」という否定的な言葉を、後半の言わ「ない」が肯定的な言葉へと変化させてるわけです。単純に「これからも恋をする」と言うよりも、魅力的な文章だと思います。この歌が売れた理由がわかる気がしますね。

 

このように第7章は、少しひねった表現が例示されており、個人的には高度なテクニックのような気がしました。しかし、もし私自身がその表現を使いこなせるのであれば、今よりももっと伝わる文章が書けること間違いなしです。今後は、形容詞を使わない文章表現にもチャレンジすることにします。

形容詞を使わない 大人の文章表現力:まとめ

自分から逃げれない!文章表現も自分の力で上達せよ

今回は、「形容詞を使わない 大人の文章表現力」を紹介させていただきました。

形容詞を使わないという本書の主旨。実は、以前紹介した「三行で撃つ」と言う書籍でも「常套句、擬音語、擬態語、流行語を使うな」と似たようなことを言ってました。(https://reframenote.com/6568.html
一見すると、本書はオノマトペ(擬音語、擬態語)を使えと主張しており、「三行で撃つ」では(擬音語、擬態語)は使うなと主張してますので、この2冊の主張は対立してるように見えます。ところが対立しておらず、本書はオノマトペの創造性が発揮できる点を評価してますし、「三行で撃つ」では「どうせ使うなら自分で新しいオノマトペを発明して流行させる。それくらいの覚悟で使おう」と言ってますので、2つの本とも主張は同じようなものと考えてよさそうです。
つまり、ありふれた言葉を使わうなという主張です。それが「自分らしい言葉で書けない」という悩みから脱出するための第一歩であることには間違いなさそうです。

結局、何をやるにしても自分、自分に戻ってきてしまいますね。自分の考え、自分の行動、自分の言葉、自分の責任が大事であると。誰かにノウハウを教わうとしても、必ず自分に戻ってきてしまいます。自分からは逃げられないのです。

やれやれ、観念した方がよさそうです、考えなきゃ駄目ですね。

 

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