ライティング



「簡単に書けるようになりたい!」そんな激甘な考えを粉砕した書き続ける文章力が学べる2冊

私のような底辺ブログの著者であっても、文章が上手くなりたいと常に思ってます。しかしながら、高額なセミナーや講座で学ぶ金などございません。そこで、文章を書く難しさを理解しつつも、ちまたにあふれかえる文章術の本からノウハウを盗んでいけば、いずれ簡単に書けるようになれるかもしれないと期待して、激甘思考で読み漁っています。

それにしても、文章が上手くなるには、身に付けなくてはならない技術がたくさんあります。たとえば、言葉遣いや文章の面白さ、ネタの探し方、決め方、切り口、文章を速く書けるか、量を書けるか、書き続けることができるか、わかりやすいか、タイトルはどうするか、書き出しはどうするか、まとめはどうするか、などです。

今回紹介する2冊は、書き続けることについての本と言えますが、私の激甘な考えに喝を入れてくれた2冊になります。

三行で撃つ

書くことを散弾銃の弾丸に例えて説明

「癖の強い文章だな」というのが読了後の感想です。と感じたのも、ありきたりの言葉ではなく、自分の言葉で書くことを主張されているせいか、万人受けする言葉で書かれた本よりも、個性が強烈な本だからです。読了まで、2週間近くかかったのははじめてです。普通の文章術の本なら2日あれば読み終わるのに。

嫌いなものを残さず食べなくてはいけないときの箸が進まない感覚を思い出してください。私のとってこの本はそういう本です。しかしながら、嫌いなものが体に悪いわけではないように、この本も学びがないわけではありません。いや、むしろ学びはあります。

著者は鉄砲撃ちの猟師らしく、「それは、猟と、文章を書くことが、とてもよく似ているからなんです(P6)」と語っているように、本書は猟にたとえて説明されており、各章の見出しは全25発と弾丸で表現されています。

第1章 文章の基本 「第1発 三行で撃つ」「第2発 うまい文章」「第3発 すべる文章」と、文章の基本について書かれてます。「三行で撃つ」は書き出しのこと。「すべる文章」とは読みやすさのことです。何が駄目なのか、例文で解説しているのはわかりやすい。しかしながら、その例文を修正したお手本文がありません。悪い例との比較文がないため、納得感を得ることができなかったのが残念なところです。
第2章 禁じ手を知る 常套句、擬音語、擬態語、流行語を使うな。型無し文章はいかん。感情を文章で説明するな(”怒っている”なら、文章で”怒った”と書くな、場面、エピソードで書け)。そんなことが書かれています。また、型無し文章はいかんということで、起承転結の書き方を説明されてます。”転”の話の膨らませ方は参考になりました。
第3章 ライターの心得 問いをつくれ。説得する技術とは?。一人称を変えると世界観が変わる。読者を設定した文章は迫力に欠ける。そんなことが書かれています。
読書中は、著者の主張を捉えることが難しいと感じた章ですが、再度読み返してやっと何が言いたいのか理解できた気がします。
第4章 書くための4つの道具 ライターにとっての道具とは「言葉」である。その言葉を整理整頓し磨くにはどうしたらよいのか。それは道具箱を持ち歩くことです。ライターにとっての道具箱は4段。①語彙、②文体、③企画、④ナラティブとのこと。主張は納得できます。
第5章 読ませるための3感 読ませるために必要なのは、「スピード感」「リズム感」「グルーヴ感」の3つ。グルーヴとはレコードの「溝」のこと。溝にはまった演奏がのれる演奏であるとのことから、のれる文章のことをグルーヴ感と表現されています。わかりづらい例え方ですが、主張は納得できました。
第6章 自己管理の技術 「意見や助言」「時間管理・執筆環境」「書棚整理術」など、ライターとしての自己管理について語られている章。とくに「第21発:書棚整理術」では「本はプロなら千冊買おう。千冊の根拠は知の指数関数法則」と語られています。千冊ということは、幅90cm、奥行40cmくらいの本棚なら2列収納でも3棚くらい必要です。広い部屋がほしいと思った次第。
第7章 生まれたからには生きてみる 文章とは、言葉とは、書くとは、何か。書くことと人生を重ね、著者の考えが語れている章、とでも言えばよいのかもしれません。個人的には、あまり響きませんでした。著者本人も「はじめに」で第7章はプロ仕様と言ってますので、素人の私に理解できないのは当然のことかもしれません。

簡単に各章の感想をまとめてみましたが、個人的には苦手な文章で読みづらさを感じました。しかしながら、第2章の話の膨らませ方や、第5章の「読ませるための3感」は、参考になりました。

この本を読んだからと言って、すぐに文章が書けるようなるとは思えません。むしろそんな簡単ではないと語られている本です。文章を書くことや書き続けることの難しさと、著者になりにどう取り組んできたかが語られており、軽い気持ちで文章を書きたいと思っているなら自分の甘さに気づくでしょう。

昨今、文章を書くのは簡単だというニュアンスの本が増えている気がするのですが、そういう本は中身が薄いというのが個人的な感想です。それらの本に比べたら、文章の難しさを伝えつつ、難しさにどう向き合っていくかを伝えている本書は良書だと言えるかもしれません。
なお、「良書だと言えるかもしれません」と、あいまいな表現にとどめた理由は、この著者の文章が読みづらいからです。読みづらささえなければ、お薦め本にしたことでしょう。

全体を通してメッセージとして感じたのは、自分の言葉で語れるようになるためには、言葉や知識を大量にインプットすることをし続けることですかね。勉強好きな方で書いていない方は、SNSなどで書いてみてはいかがでしょうか。

書く仕事がしたい

ライターとして食べ続けてていくにはどんな努力が必要か。ライター業を目指し、ライターとして食べ続けたい人にとって参考になる本です。ただし、仕事で評価されている方にとっては当たり前に感じるような内容かもしれません。逆に、楽してライターになりたい人にとっては耳が痛い内容かもしれません。当然、私は怖気づきました。
しかしながら、著者自身の経験にもとづく失敗談は、参考になります。ライター業を続けていく方にとっては、成功だけでなく失敗の要因も知っておいた方がいいでと思います。
印象的な著者のメッセージがいつくかあるのですが、その中で、次の3つのメッセージは押さえておきたいところなので、引用いたします。

長く書き続けるために大事なもの

書き手として長く生き残っていくためには、「相場感」を持つことが大事です。でもこの「相場感」って、わかるようでわからない日本語ですよね。「相場感を知っている」とは、いったいどんな状態を指すのでしょうか。
(中略)
つまり、同じ部品を紹介するのでも、読者が「高嶺の花」だと思っているのか、「少し背伸び」なのか、「ちょうどいいくらい」なのか、「安い」と感じるのか。その、読者の感覚を持って書けることを、相場感があるといいます。

書く仕事がしたい(P150~151)

相場感とは著者独特の表現ですが、マーケティングを勉強されたことがある方なら、ターゲットやペルソナのことだなとピンとくると思います。

面白い文章を書くには?

そして、面白いと言われるコラムやエッセイを分解してみると、そこには「視点」だけではなく「視座」があるように思いました。
「視点」とは、ものごとの「どこを見るか」です。多くの場合、この「どこを見るか」が、書き手のオリジナリティが発露する部分に思われています。
一方で「視座」は、ものごとを「どこから見るか」です。あまり語られていないように感じるけれど、この「どこから見るか」にも、書き手のオリジナリティが出ると私は思います。

書く仕事がしたい(P315)

視点はよく聞く話ですが、視座は目から鱗。
ある高校野球チームの試合を視聴するなら、ピッチャーに注目するかキャッチャーに注目するかが視点、高校野球を、吸いラムダンクの桜木の立場で観るか、枯れたおっさんの立場で観るかは視座、こう考えればいいのかな?
たしかに、枯れたおっさんである私の立場で、肩を壊すのではないかと思うくらい頑張るピッチャーを観たら「無理すんな人生は長いんだから」と思うかもしれないし、スラムダンクの桜木の立場で観れば「今が栄光の時代だ。断固桜木の根性だ、頑張れ」と思うかもしれず、書き手のオリジナリティが出るのは納得です。

書くという加害に自覚的になれ

誰かの漂う思考をつなぎとめて文章にしたい。
そして別の誰かに届けたい。

そんな風に考えて書くことを続けてきました。

だけどときどき思うのは、この流れゆく言葉たちを、ほんとうにこの物語に押し込めてよいのだろうか、ということです。

物語にするにはいつもある種の暴力が働きます。
こう解釈したいと思った彼/彼女は、本当にそのストーリーを必要としていたのだろうか。本当はそこに静かに置かれただけの言葉を、勝手に線でつなぎデザイン処理しちゃってないだろうか。
そのことに自覚的になればなるほど、言葉がするすると指の間をすり抜けていくときがあります。だけど、この喪失に自覚的であることが、書くことを仕事にする人間の責任だと思います。

書く仕事がしたい(P330)

私の解説は不要。著者と私の距離が以下に遠いか、それがわかる言葉です。この文章は、強く美しいと思います。

この本も読んだからといてすぐに書けるようになる本ではありません。「この本は、文章術の本ではありません。(P3)」と著者も言っます。そうではなく、長く書き続けるため必要なことを書いている本なのです。ちまたにある文章で食べていくのは簡単だと言うニュアンスの本を読まれた方は、目を覚ますためにも一読された方がよいと思います。

強いて物足りないところをあげるとすれば、言い切っていない文章が多いと感じたところでしょうか。~思いますと遠慮がちに表現されているところが多いなと感じました。「三行で撃つ」の著者が言い切りキャラのため、比較すると物足りなさを感じます。まあ、「三行で撃つ」を読まなければ、丁寧な文章という印象だったかもしれませんがね。

まとめ

激甘ではなく自分好みの甘さで作れ

以上、文章の書き続けるために必要なことが学べる2冊を紹介しました。

私は文章を書くことは、人生を歩むことくらい難しいと思っているため、文章は簡単だというニュアンスの本が好きではありません。最近は、文章は簡単だと言っている中身のない本がkindle出版本に多いため、読まれる方は時間の無駄にならないよう気をつけていただきたいものです。(っというか、私こそが気をつけろという話です)

今回紹介した2冊は、文章の難しさと、著者がどう乗り越えてきたかが語られている本です。この2冊の著者は自分との戦いに勝っています。だからといって「文章を楽に書きたいなどと甘ったれたことを言うな!」という類の本ではなく、まるでパティシエのように甘いスイーツを作るレシピを伝授しているがごとく、著者のノウハウが語られてました。
だからでしょうか、私自身も文章を書くことについて、現実の厳しさを受け止めることができた気がします。著者のアドバイスどおりに行動できれば、文章が書けるようになるでしょう。ただし、行動に移せるかは自分次第ですが。

きっと、簡単に書けるようになりたいと思っている方が読めばつまらない本でしょう。しかし、書き続ける現実を知るのは大事なことですので、この2冊の本は読んでみるとよいと思います。「文章は簡単には書けないけれど、苦労して書くから成長し楽しくなる」まるで、子育てと同じ、そのように感じました。私、微妙ですが成長したかも。

読者の書くことに関する激甘な考えを浄化してくれます。そんな風に感じた2冊でした。

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