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「騙されるほうが悪い」と言うが、悪いというより欠陥か?

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騙す方も騙される方も悪いという言葉を聞いたことがあります。本当にそうでしょうか?

騙す方は悪い。これは確定。では、騙される方は? 悪いの? 何故?

とはいえ、警戒心が強く、あまり騙されない私は、騙された方も悪いという言葉に対し、そりゃそうだと納得していました。なんなら、騙されている人を見下すくらいの勢いです。なぜ悪いか理由も説明できないくせに、さすがにひどいかな。

どこが悪いのか、何故悪いのか、よくわからずなんとなく使っているこの「騙される方も悪い」という非情な言葉。しかし、この「影響力の武器」を読めば、なぜ、騙される方も悪いと言えるの納得することができます。

影響力の武器 第三版

騙される方が悪いなんておかしいと思うなら、影響力の武器6つを知ろう

本書「影響力の武器」は主に次の6つの影響力について解説されております。私って騙されやすいなと思う人は、知っておきたい知識です。

影響力 説明(影響力の武器[第三版]より引用)
返報性 このルールは、他者から与えられたら自分も同じようなやり方で相手に返すように努めることを要求する(影響力の武器[第三版] P91)
コミットメントと一貫性 ほとんどの人には、自分の言葉、信念、考え方、行為を一貫したものにしたい、あるいは、他者からそう見られたいという欲求がある。コミットメント(自分の意見を言ったり、立場を明確にしたりすること)をしてしまうと、人はそのコミットメントに合致した要求を受け入れやすくなる(影響力の武器[第三版] P181)
社会的証明 社会的証明の原理によると、人がある状況で何を信じるべきか、どのように振る舞うべきかを決めるときに重視するのが、ほかの人びとがそこでなにを信じているか、どのように行動しているかである(影響力の武器[第三版] P263)
好意 人は自分が好意を感じている知人に対してイエスという傾向がある(影響力の武器[第三版] P324)
権威 肩書きは、獲得するのが非常に難しくもあり、同時に易しくもある権威のシンボルです(影響力の武器[第三版] P350)権威からの要求に服従させるような強い圧力が私たちの社会に存在することがわかる(影響力の武器[第三版] P371)
希少性 希少性の原理によれば、人は、機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす。この原理を利益のために利用する技術として、「数量限定」や「最終期限」といった承諾誘導の戦術があげられる(影響力の武器[第三版] P425)

上記、本書の言葉を簡単に言えば、次のようになるでしょう。

返報性:いただいた物や気持ちに対して、お返ししたくなる。お返しする。
コミットメントと一貫性:言ったことを守り続けようとする
社会的証明:多くの人の意見を信じる。口コミを信じる。
好意:好きな人が言ったことを信じる。
権威:専門家の言葉を信じる。
希少性:少ないものに価値を感じる。

誰でも心当たりがあるかと思います。ほとんどの人がこの6つの影響力を受けていますからね。そして、この6つの影響力ですが、よくよく考えるとどうもいい人の条件のように見えるのは私だけでしょうか。

いただいたもの返す? いい人じゃん!
言ったことを守る? いい人じゃん!
周りの意見を信じる? いい人じゃん!
好きな人の言葉を信じる? いい人じゃん!
専門家の言葉を信じる? 信じない人よりかは、いい人に見えるかも!
少ないものに価値を感じる? これは、いい人悪い人関係ないか!

このように、直感的な受け止め方としては全体的にいい人に見えます。

騙されるほうが悪いのは選択肢が多くなったせい?

繰り返しますが、騙す方が6つの影響力を利用したら悪いです。でも、騙された方が悪いと言う印象はありません。

本当、最初に騙される方も悪いと言った人は誰でなんでしょう。詐欺師が人を騙して「へへ、騙される方も悪いんだよ」と言ったのか、何度も騙される人を見た第三者が「同じ手口に引っかかるなんて、騙される方も悪いんだよ」と言ったのか、騙された人が「なんて自分は愚かなんだ、騙された自分も悪い」と言ったのか、どの立場の人間が最初に言ったのかはわかりませんが、謝った方がいいのでは?

しかし、本書の次の文を読みむと、考えが変わります。

認知能力がもともとある程度欠けている下等動物と違って、人間の場合は、複雑な世界を急速に構築することによって、自ら欠陥を作り出してきたのです。この新たに作り出された欠陥は、ほかの動物が長くもってきた欠陥と同じ結果を招いています。つまり、決定を下すときに、状況全体を十分に考慮して分析する場面が減ってきているのです。こうした「情報が多すぎて何も決められない状態」陥ると、私たちはその状況のなかにある単一の、たいていは信頼できる特徴に注目するようになります。

(影響力の武器[第三版] P439)

情報が多いから何も決めれず、単一の影響力に注目する。ここがポイントでしょう。ただ、騙されたわけでもなく、情報分析を怠けたいから、単一の影響力を信じ、騙されたのでした。

情報をきちんと分析せず、6つの影響力に注目し騙されたのであれば、騙された方にも落ち度はあるわけです。この落ち度こそが、「騙される方が悪い」という言葉に対して納得してしまうことにつながっているのです。ただし、悪いというよりは、著者曰く、それは人間の欠陥というわけです。

ならば、「選択のための情報分析を怠って、影響力を信じ騙された人」を、いい人と言うのも違う気がしますね。

騙される奴が悪い。ん?自分のことじゃないか!

私自身は、結構警戒心が強く、詐欺にあうようなこともありませんでしたので、騙されている人をどこか見下していいました。どうせ騙されるものは何度も騙されるわけです。そこに「情報分析を怠けたことが悪い」とある意味、見下しを正当化されたと思った刹那、自分が最近、もろに影響を受けた体験があるのを思い出しました。それは、以前に書いた次の記事の体験です。

今、振り返っても、参考にしたブログ記事へのお礼(返報性)から始まり、セールスライティングの実績を信じ(権威)、キャンペーン価格(希少性)やお客様の声につられて商品を購入(社会的証明)、・・・これらの影響を自分自身で受けまくって、予定外の出費をしています。騙されるものは騙される。この場合は騙されたというのは失礼かもしれませんが、なるほど6つの影響力は強いし大きいです。騙された人を見下している場合ではなく、私自身も情報分析を怠けていたのでした。

いいようにやられました。まさしくディフェンスがザルだったのです。舐められたものです。これでは、たしかに私も悪いです。そして、そんな自分をとてもじゃないが、いい人とは言えませんね。
スラムダンクので、流川がインターハイの県予選の陵南戦で桜木に言った「お前はなめられている」を思い出しましたよ。

影響力の武器 第三版:まとめ

騙されていないときに学び、もう騙されるな

騙されるほうが悪い。
この言葉は、選択肢が多すぎて情報分析を怠り、手っ取り早く影響力6つに注目してしまった行為について悪いと言えることがわかりました。
私自身が最近あっさりやられてしまったように、影響を受けている最中は、影響を受けていることに気づかないです。だとすると、影響を受けていない日にきちんと学び、自分をディフェンスできる武器を手にした方がよいと思います。

完璧な人間などいないのですから、欠陥あって当然。欠陥があるなら学んで、完璧に近づけていけばいいのです。

『影響力の武器 第三版』という本は、440ページ以上あり字も多いですが、一度は読んでおくべき本だと思います。忙しい場合は巻末にまとめがありますので、まとめだけ読むことから始めてもいいと思います。

自分を守れる知識があり、冷静な分析や対応ができた上で、影響力に対処できる人。そんな騙す人でも騙される人でもない、騙されない人になりましょう。(と自分に言い聞かせる騙される人な私)

 

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