BRAND NEW FRAME.NOTE

変われないのは自分ではなく消耗のせいか?変われないを変える3つの要素と3つの方法

記事内に広告が含まれています

インターネットや本で調べれば、人が変われるさまざまな方法を知ることができます。それらを知って、自分を変えようとしても、実際にはなかなか変われません。しかも、自分を変えることができないのに、自分を変えることよりも難易度が高い、他人や組織を変えなくてはならないときもあります。そして、当然のようになかなか人は変わってくれません。

なぜ、人は変われないのでしょうか。
何度チャレンジしても変われないのは、頭の中で何が起こっているからのなのか。変えるためにはどんな方法を取ればよいのか。

今回紹介する、本書「スイッチ!」は、そんな「変われない」を変えるためのフレームワークを教えてくれる書籍です。

 

スイッチ!

人が変われない理由は?

人は、なぜ変われないのか。
以前、紹介させていただきましたセルフコーチングの本「トリガー 自分を変えるコーチングの極意」によりますと、まず自分の中には「計画する人」と「実行する人」がおり、「実行する人」が「環境」の影響を受けてしまい、「計画する人」の計画通りに行動できないため変われないと語られております。

本書「スイッチ!」も切り口はほぼ同じで、「トリガー 自分を変えるコーチングの極意」の「計画する自分」が、本書では「象使い(理性)」として、「実行する自分」が「象(感情)」として、「環境」が「道筋」として、表現されています。2つの書籍を読むかぎり、人が変わらない原因は、理性、感情、環境がポイントになりそうで。

実際、心理学の一般的な見解によると、脳ではつねにふたつのシステムが独立して働いている。ひとつ目は、これまでに説明してきた「感情」だ。苦痛や快楽を感じる人間の本能的な部分だ。ふたつ目は、「理性」だ。これは熟慮システムや意識システムとも呼ばれている。じっくりと考え、分析を行い、未来に目を向ける部分だ。
~(中略)~
最近では、行動経済学者たちがふたつのシステムを計画者と実行者と名づけた。
しかし、ふたつのシステムの葛藤をもっともうまく表現しているのは、ヴァージニア大学の心理学者ジョナサン・ハイトが名著『しあわせの仮説』で使っている比喩だろう。ハイトは、私たちの感情は「象」であり、理性は「象使い」だと述べている。

スイッチ(P16)

本書「スイッチ!」は、怠けてしまう、変化を嫌う、行動しないなど、人間の問題と思われがちなことには、次の3つの意外な事実があるのだと言っているところがポイントです。

人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多い。(P12)
怠けているように見えても、実は疲れきっている場合が多い。(P23)
抵抗しているように見えても、実は戸惑っていることが多い。(P27)

解決策がなさそうな「3つの意外な事実」ですが、それを克服し、変化を起こすフレームワークを提示してるのが本書の魅力であり、読者が得るものです。

・象使いに方向を教える。
抵抗しているように見えても、実は戸惑っている場合が多い。したがって、とびきり明確な指示を与えよう。

・象にやる気を与える。
怠けているように見えても、実は疲れきっている場合が多い。象使いが力ずくで象を思いどおりの方向に進められるのは短いあいだだけだ。したがって、相手の感情に打ったえることが重要。象に道を歩かせ、協力してもらおう。

・道筋を定める。
人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多い。本書では、この状況や環境のことを「道筋」と呼ぶ。道筋を定めることで、象使いや象の状態にかかわず、変化を起こしやすくなる。

スイッチ!(P30)

人の変われないを変えるフレームワーク概要

本書のフレームワークをまとめると次のようになります。

フレームワーク 戦略 説明
象使いに方向を教える ブライト・スポットを見つける ブライト・スポットとは、問題解決の手本となるような成功例のこと。問題の中で、例外的にうまく行っているブライト・スポットを探し、解決を目指します。
大事な一歩の台本を書く あいまいな目標を具体的な行動に置き換えること(スタート設定)。
目的地を指し示す 目標設定すること(ゴール設定)。
象にやる気を与える 感情を芽生えさせる 行動を変えるには人々の心に訴えること。
変化を細かくする いきなり大きな行動から始めるのではなく、小さな行動から始めること。
人を育てる ①アイデンティティを養い、②しなやかなマインドを育てること(①自分はこういう人間だ、②どんな変化にも対応できるんだ)
道筋を育てる 環境を変える 自分にセルフコントロールを課すよりも、環境を変えた方が行動が変わるということ
習慣を生み出す アクショントリガー(行動の引き金)を設定して、行動を習慣化させること
仲間を集める 行動は伝染する。仲間を集めて、行動を広めようということ

このフレームワークをご覧いただくとわかりますように、対象は個人だけでなく集団(=組織)でもOKです。むしろ、集団の方が使いやすそうという印象が私にはあります。

このフレームワークですが、個人的に重視しているのは、「環境を変える」と「ブライト・スポットを見つける」です。この点について、解説したいと思います。

環境を変える

今まで自分の失敗をどう考えていたか振り返ってみますと、「ダイエットしたいのにチョコレートを控えることができないのは、自分に根性がないせいだ」、「夜勉強したいのに、数時間も続かないのは、自分にやる気がないせいだ」、といったようにすべて自分のせいにしていました。
実は、このようなできないの原因は、本書が言うように自分のせいではなく、環境のせいである可能性があります。そこで私は、環境に着目し、改善することにしました。

チョコレートを控えることができなかったのは、万が一食料不足が起きてしまったときのためと保存していたことで、常に手に届くところにあるのが原因と考えました。
保存用なのに、手に届くところにあるから食べてしまい、食べれば保存用がなくなるため、すぐに補充します。そして補充すると、また食べたくなって、つい食べてしまいます。こういうことを繰り返しているのです。
そこで、チョコレートを手に届くところに置くのをやめるため家におくことすら許さず、保存しない方針にしました。そしたら、チョコレートを食べなくなりました。最初は寂しさもありましたが、次第に慣れ、食べないなら食べないで、ストレスを感じることもなくなりました。その程度のことだったのです。

夜、勉強しても数時間続かないのは、ローデスク(床に直接座る低い机)のせいかもしれないと考えました。疲れたらすぐに寝転ぶことができるからです。そこで価格の安いデスクを購入し、椅子に座るようにしたら、眠らず勉強が続くようになりました。その程度のことだったのです。

この私の例のように、自分ではなく環境のせいであると視点を変えることで、自分の行動を変化させることできます。できないことを自分のせいにするより、環境のせいにした方が、改善効果があると思われます。

ブライト・スポットを見つける

ブライト・スポットとは、問題の中で例外的にうまくいっていることを言います。本書の独特の言い回しかと思われますが、心理療法ソリューションフォーカス・アプローチの「例外探し」と同じです。詳しく知りたい場合は、ブリーフセラピーの書籍(たとえばこちら⇒新版 よくわかる!短期療法ガイドブック)を読まれるとよいと思います。あるいはビジネス向けに書かれているこちらの書籍でもよいでしょう。

ブライト・スポットを見つけるのが問題解決に有効だといえるのは、それが自分自身や自分が所属する共同体の中に、こっそりと存在している解決策だからです。外部から誰かにアドバイスされた解決策は、抵抗され失敗する可能性がありますが、自分自身や自分が所属する共同体に馴染んでいる解決策ならば、受け入れられやすいため成功する可能性が高いのです。

本書には、国際組織セーブ・ザ・チルドレンで働くスターニンが、あるベトナムの村の栄養不足問題に取り組まれたときの話が例として挙げられています。簡単にまとめますと、こういう話です。

半年で結果を出さなくてはいけないスターニンは(予算も時間もない)、貧困の撲滅、水の浄化、公衆衛生システムの構築では解決しないだろうと考え、村中を調査し健康な子どもがいる家庭を見つけました。すると、食事の量は大半の家庭と変わらないのに、食事の回数や、食べさせ方、食べているものが違うことがわかりました。それらを参考にし、栄養不足の家庭に対し、新しい食習慣が身につく仕組みを導入したところ、村の栄養不足が改善されました。仕組みを導入する際、食事を作る方法と(象使いへのアプローチ)、子どもが健康になることを訴え(象にアプロ―チ)、集団で仕組みに取り組むよう道筋をつけたことがポイントです(環境を変えた)。

よそ者であるスターニンが「あれをやれ、これをやれ」と指示するのではなく、すでに村の中に存在していた成功例を利用したからこそ、村人は改善策を受け入れることができたのです。

環境を変えたり、ブライト・スポットを見つけたりすることは、自分や集団を変えるきっかけになりやすいです。自分や自分たちを責めるのはやめにして、まずは例外的にうまくいっていることかを見つけ、試してみることから始めるとよいと思います。

スイッチ!:まとめ

溺れるときにつかんだ藁から何度も変われ!

変わりたくても変わらないのはなぜか?

それは、環境の問題だったり、疲れだったり、やり方がわからず戸惑っていたりと「3つの意外な事実」があることが原因でした。そのため、環境、感情、理性にアプローチし、消耗しないような方法を行うことで、「変わらない」を変えるというのが本書スイッチのアプローチです。消耗を意識している点が、良いところと思われます。

というのも、以前このブログでも紹介させていただきました(https://reframenote.com/4162.html)、「トリガー 自分を変えるコーチングの極意」という本は、セルフコーチングの本として良書ですが、この本の方法だけでは変わるのが難しいと考えております。
なぜなら、本書スイッチのP21で「セルフコントロールは消耗資源である」と語られているように、消耗により変わりたくても変われないことが、セルフコーチングでは多々あり「トリガー 自分を変えるコーチングの極意」も例外ではありません。

だからこそ、本書のような消耗を意識した方法を知っておくのも大事なことなのです。

私は筋金入りの変われない人ですから、変われる方法をひとつ知ったところで簡単に変わりません。変われる方法いくつも知り、いろんな方法を試し続けて変われるかどうかです。
まあ、何度チャレンジしても変わらないとあきらめるのではなく、さまざまな「変わる方法」を知って、足掻いてみるのも人生。『溺れる者は藁をもつかむ』ということわざがありますが、藁でもいいです。掴んだ藁が大きな変化を掴むきっかけになるのであれば・・・、わらしべ長者のように。

というわけで、私は引き続き、いつか掴むであろう自分のあるべき姿のために足掻き続けたいと思います。

 

モバイルバージョンを終了