やるぞと決めた行動があっても、数日経過すれば、もうさぼってます。新しい行動の習慣化は、まるで言葉の通じない動物にしつけしているみたいで、自分のことでありながらも、なかなかうまくいかないものです。
「目標・目的がないと習慣化できないのだろうか」「何故習慣化できないのだろうか、自分のせいなのか誰のせいなのか」と、考えてしまう方も多いと思います。。
「ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣」は、そういった考えをわかりやすい説明でクリアにしてくれました。まさに良書でしたので、紹介させていただきたいと思います。
目次
ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣
目的・目標設定すれば習慣が身につくって本当か?
習慣化には、目的・目標が必要と聞いたことがある方も多いかと思います。妙に納得していまいそうになりますが、果たして本当にそうでしょうか。
もし習慣化に目的・目標が必要なら、目的・目標がない悪い習慣は、何故簡単に身につくのでしょう。例えば・・・
ダイエットのため食事制限したいのに、つい甘いものを食べてしまう・・・
知識が欲しくて勉強したいのに、ついゲームしてしまうの・・・
メタボ対策でランニングしたいのに、ついゴロゴロしてしまう・・・
このように、目的・目標のための行動が習慣化されず、目的・目標に逆らう行動が習慣化がされてしまっている例は多々あります。本当に目的・目標は習慣化に必要なのでしょうか
よく知られている知恵によれば、健康、ビジネスでの成功、リラックスと不安解消、友人や家族との時間など、人生で欲しいものを手に入れる最善の方法は、具体的で実行可能な目標を設定することだという。
何年もの間、わたしもこのようにして習慣に取り組んだ。それそれの習慣には到達すべき目標があった。学校で取りたい成績、ジムで持ち上げたい重量、ビジネスで儲けたい利益。少しは成功したが、その多くは失敗した。そうしてようやく、結果は設定した目標とはほとんど関係なく、取り入れた仕組みに左右されると気づくようになった。
仕組みと目標の違いはなんだろう? その区別を最初に学んだのは、コミック『ディルバート』の作者である漫画家スコット・アダムスからだった。目標は達成したい結果であり、仕組みはその結果へと導くプロセスである。ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣(P33~34)
納得しました。目的・目標は、必ずしも習慣化に必要ではなく、あればなおよいという程度のものでしょう。むしろ大事なのは習慣化するための仕組みだったのです。悪い行動が習慣化されてしまうのは、そういう仕組みが出来ているというわけですね。
何故うまくいかないのか?習慣化のコツを知ることが大事
習慣化に挫折すると、「誰のせいなのか」と思うこともあるでしょう。
勉強が習慣化できないのは、集中力が弱い自分のせいなのか、周りでうるさくする家族のせいなのか。ダイエットできないのは、つい食べてしまう自分のせいなのか、腹いっぱい食べる量のおかずをつくる家族のせいなのか。結局のところ、誰かのせいにしたくなるのは、自分の思い通りに習慣化できないからです。
自分自身のことなのに、なぜ、自分の思い通りに習慣化できないのでしょうか。
ところが、いったん習慣が身についたら、永遠に離れそうにない―とくにありがくたくない習慣はそうである。よくないとわかっていても、ジャンクフードを食べたり、テレビを見すぎたり、なんでも先延ばしにしたり、煙草を吸ったりという不健康な習慣をやめるのは不可能になる。
習慣を変えるのが難しいのは、ふたつの理由がある。(一)変えようとするものが間違っている。(二)習慣を変えるための方法が間違っている。ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣(P41)
誰のせいでもありません。習慣化が思い通りにならないのは、「(一)変えようとするものが間違っている。(二)習慣を変えるための方法が間違っている。」からなのです。
何を達成したいかではなくて・・・
「(一)変えようとするものが間違っている」とは、どういうことでしょう。詳細については本書をお読みいただければと思いますが、以下、簡単にまとめさせていただきます。
①行動の変化には3つの層
一の層は、『結果の変化』、第二の層は『プロセスの変化』、第三の層は、『アイデンティーの変化』であり、『結果』は、自分が獲得するもの、『プロセス』は、自分が行うこと、『アイデンティティー』は、自分が信じているものです。
多くの人は、何を達成したいかを意識して習慣を変えようとする。これは結果ベースの習慣になりやすい。別の方法は、アイデンティティーベースの習慣を身につけることだ。この方法では、どのような人になりたいかに意識を向けて変化に着手する。
ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣(P41)
つまり、「こういう結果を得たいからこうする」ではなく、「こういう人になりたいからこうする」が習慣化のコツなのです。
本当の行動変化は、アイデンティティーの変化である。やる気があれば習慣を始められるかもしれないが、その習慣を続けられるのは、自分のアイデンティティーになったときだけである。
~(中略)~
・目標は本を読むことではなく、読書家になることである。
・目標はマラソンに出ることではなく、ランナーになることである。
・目標は楽器の演奏を習うことではなく、音楽家になることである。ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣(P46)
この説明は「なるほど!」と、納得する内容でした。なぜなら、私自身、知識を得たいから読書を習慣化しているのではなく、読書家と思っているから読書を習慣にしているのです。
とは言っても、初めから自分を読書家と思ったわけではありません。身近の人達から「読書家なのですね」と言われることが多かったことがきっかけで、いつの間にか思い込んでいたのです。
ある行動を習慣化したければ、まずはアイデンティティーを変える。何を達成したいかではなく、自分がどうなりたいかで行動が変化する。納得できる説明ですね。
行動変化の四つの法則
まずは何を変えればよいか、それはアイデンティティーであることがわかりました。では、「(二)習慣を変えるための方法が間違っている。」とは、どういうことでしょうか。
習慣を変えるための方法を知るには、習慣がどのように形成されているか理解する必要があります。
習慣形成のプロセスは、シンプルな四つのステップに分けることができる―きっかけ、欲求、反応、報酬である。
このように基本的な要素に分解することで、習慣が何であり、どのように働き、どう改善すればよいか理解しやすくなる。
この四つのステップのパターンは、あらゆる習慣の根幹であり、脳は毎回同じ順番でこのステップを踏んでいく。ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣(P62)
習慣形成のプロセスは、①きっかけ→②欲求→③反応→④報酬の繰り返しである。このことを理解する必要があります。そして、習慣化に失敗している場合は、どのステップが問題になっているか分析し、各ステップごとに相応しい改善をしていけばいいわけです。
まとめると次のようになります。
問題の段階 | 解決の段階 | |||
ステップ | ①きっかけ | ②欲求 | ③反応 | ④報酬 |
良い習慣の身につけ方 | はっきりさせる | 魅力的にする | 易しくする | 満足できるものにする |
悪い習慣の絶ち方 | 見えないようにする | つまらなくする | 難しくする | 満足できないものにする |
具体的にどのように改善をしていくかについては、ボリュームが多く、ここでは紹介しきれませんので、本書「ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣」をお読みいただき、習慣化のコツを得てくだされば幸いです。
良い習慣を身につけ、悪い習慣を絶つための秘訣は、この基本的な法則を理解し、それを自分に合わせて修正することだ。どんな目標も、その人の性質にそぐわないものは必ず失敗する。
ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣(P71)
ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣:まとめ
人生は長い、何度も繰り返せるだけ長い
習慣化に失敗するため、抱いていた疑問「①目的・目標設定は必要か」の答えは、必要なのは「仕組み」であることが、「②何故習慣化できないのか」の答えは、「アイデンティティーを変え、行動変化四つの法則で修正していくこと」が習慣化のコツであることがわかりました。
私は原田メソッドのルーティンチェック表の使い方を学んだことで、習慣化する方法を知りました。そのため、今さら習慣化について学ぶ必要はないかなと思っていましたが、どうやら考えが甘かったようです。というのも、習慣形成までの期間ですが、原田メソッドのルーティンチェック表では2~3週間の継続を目安にしているのですが、本書によると大事なのは日数ではなく、回数のようなのです。
習慣形成では、時の流れという魔法は通じない。二一日でも、三〇日でも、三〇〇日でも関係ない。大切なのは、行動する割合である。三〇日に二回する場合もあれば、二〇〇回する場合もある。その頻度が違いをもたらす。
ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣(P168)
この教えにより、原田メソッドのルーティンチェック表の使い方の本質を理解した気がします。新たな知識が加わり、実践して成功すれば、持論化することにつながっていきます。そのサイクルこそ勉強の楽しみです。
人生において、最初からいきなりうまくいくことなど、ほとんどありません。それは、習慣化についても同じことです。ありがたいことに、習慣化できるまで何度も繰り返せるよう、人生は長い時間をくださりました。今後も習慣化したい行動は、何度でも繰り返しチャレンジするとしましょう。悩むは頭の良い人がやること。馬鹿な私はコツコツと繰り返し行動することにします。