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【ハリガネサービス】羽座川扇を傷つけた下平鉋の力無き正義がむごすぎる点

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ハリガネサービス、ハリガネサービスACEというバレー漫画をご存じだろうか。

この漫画の主人公下平鉋はとんでもない偽善者なのである。おそらく一部の人からは許されることがないキャラなのである。

その一部の人とは、私のような貧乏家庭で育った人である。

ハリガネサービスの主人公下平鉋のなにがひどいのか。ハリガネサービス18~19巻で明かされた過去のエピソードから、ピックアップしたいと思う。ネタバレになるので、それが嫌な人はここで離脱していただきたい。

では、最強の偽善者を紹介しよう。

ハリガネサービス下平鉋の非常識な過去

ハリガネサービス下平鉋との出会いが羽座川の悲劇の始まり

インターハイ東京予選決勝前、ライバルの駿天堂高校羽座川扇(はざかわ おうぎ)との関係について、豊瀬高校のチームメイトから問われた下平鉋(しもだいら かんな)は、小学生時代のことを語り始める。

羽座川と下平の出会い。それは、いじめられてた下平を羽座川が助けたことがきっかけだった。その後、バレーをしている羽座川に憧れて、下平もバレーを始めることになる。

ある日、下平に誘われて羽座川が下平の家に泊まりに行くことなった。次の日、バレーシューズを下平家に忘れてしまったわけであるが、下平が電話で父に確認するとシューズの名前はよしのになっていた。そのことを下平はバレークラブのみなの前で話すが、「俺のじゃない」と羽座川。

実は、羽座川は大人の事情で大変な状況だ。このエピソードの最後の方で判明するが、羽座川には両親がおらず、婆さんが育てている。そして、新品のバレーシューズを買えない経済状況のため、先輩のおさがりを使っているのだ。

このバレーシューズ事件から、下平鉋の偽善と羽座川の悲劇が始まるのである。

ハリガネサービス下平鉋の痛い一言

皆のまえで余計なこと言った謝罪とシューズを届けたいからと、バレー部の監督から羽座川の自宅の住所を聞いた下平は、早速羽座川家を訪ねる。そこで目にしたものは、バレークラブでは見ることのない羽座川の姿だった。

引用元:ハリガネサービス18巻より

当然、こんな姿を見られたくない羽座川は下平に忘れてくれと言うが、「僕にできることはない?」と食い下がる下平。
羽座川「じゃあ、金くれよ。たくさん。家をとっかえてくれよ。あったかいご飯作ってくれる親をとっかえてくれよ。」「できねぇだろ!? お前にできることなんて一つないんだよ」と、家なき子の安達祐実のごとく言う。
それに対する下平の返しがこれだ。

引用元:ハリガネサービス18巻より

痛い、痛すぎる。羽座川のリアクションわかるわ。下平ってこうことを言うのよ。それが余計に相手を傷つけるとも知らずに。そして案の定こうなります。

引用元:ハリガネサービス18巻より

本当に転校できると思っていたようで、かなり痛い少年であることがわかるだろう。馬鹿馬鹿しくイラっとする瞬間だが、羽座川は冷静に返答している。えらい。

ハリガネサービス下平鉋の見下した一言

バレークラブの友だちに誘われ断れなくなり、ディズニーランドに遊びに行った羽座川は、カバン持ちで貯めたお金を使ってしまう。(バレークラブの友だちには、貧乏を隠したい羽座川の気持ちがわかるシーンだ。)
そのせいで、ノートを買ってしまうとや新しい靴が買えなくなってしまったのだ。そこでの下平の一言。

引用元:ハリガネサービス19巻より

なんと見下した一言か! プライドを傷つける一言だが、当然下平は気づいていない。
下平よ、バレーはいいから、D・カーネギーの「人を動かす」を読め。そうすれば、人にとって自尊心がどれくらい大事なものであるかわかるはずだ。

どうしても羽座川を支援したい下平、「バレーを教えてくれ」と羽座川にお願いし、教えてくれるかわりに足りないものを下平が用意すると交換条件を提案する。ダダであげると羽座川を傷つけると気づき、交換条件にしたのだ。しぶとい偽善の売り方だ。だが、この条件は、羽座川も受け入れた。

作者:荒達哉氏の羽座川の描き方は見事で、この羽座川の心理は、貧乏経験者として理解できる。ギリギリだけどプライドだけは失いたくない、助けてほしいけど施しは受けたくない、どうにか自分の友だちと対等にいたいのだ。

ただし、下平は、「三角定規がなくなったから」などと、親に嘘をついて、お金を調達している。それで、羽座川の必要なものを買っていたわけだが、この行為がとんでもないじたいに発展する。(下平の親も何かがおかしいと気づきはじめる。)

ハリガネサービス下平鉋のしつこい一言

引用元:ハリガネサービス19巻より

羽座川が、バレークラブのメンバーには貧乏生活を知られたくないのはわかっていることなのに平然と言ってのける下平。本当に下平は、まったく人の気持ちがわかっておらず、自分の善意だけを押し付けようとする。しつこい。

羽座川は「ダメだ。バレークラブは俺を唯一認めてくれる場所なんだ。皆に気なんか遣われたくない。地元でのことは、絶対あっちで言うな」と断る。

羽座川にアドバイスしてあげたい。こういうことを言う人とは、距離を置いたほうがいい。いずれ、自分が大事にしているものを、めちゃくちゃにしてくるぞ。

私も学生時代は似たような立場だった。家を知りたがる友人がいたが、距離をおいていた。羽座川に負けず劣らず、ボロい家に住んでいることを絶対にバレたくなかったからだ。

ハリガネサービス下平鉋、羽座川のイメージを破壊

バレークラブのメンバー落合竜ノ介とこじれた羽座川(プレーを一生懸命したかどうか)。その落合の母親がしゃしゃり出てきた(=羽座川に貶められたとバレークラブの監督に苦情)。落合の母親は羽座川の祖母(両親がいないことはバレークラブのコーチから聞かされ)と話をつけるため、下平を尾行して羽座川の家を突き止める。そして貧困家庭であることを知る。

落合母は、数日後バレークラブの練習を見学に行き、子供たちがいる前で羽座川が月謝を払っていないことを暴露してしまう。凄まじく非常識な大人なのである。実は月謝は監督が払っており、羽座川の父親の友人として、羽座川の可能性が閉ざされることがないよう面倒をみていたことがここで明かされる。

しかし子供たち、羽座川の貧乏は羽座川のせいでないと理解を示す。一方で最近羽座川の羽振りがよかったのはなぜかと問われた。

ここを指摘する落合母の底意地の悪さはエグイ。だが、ここからの下平の方がもっとエグイ。

「使ったお金はどこからきたのかしらね」という落合母の問いに、下平はこう答えた。

引用元:ハリガネサービス19巻より

羽座川を奈落の底に叩き落す一言。こんなこと正直に言う必要があるだろうか。「知らない」で、通せばいいではないか。ここは羽座川が自力で切り抜けなければいけないところなのだ。貧乏を隠すために乗り越えなくていけない試練なのだ。乗り越える機会を失った羽座川の心を思うと涙が出てくる。

この後、下平は羽座川のイメージを壊しまくる発言する。下平に悪気はないのだが、言葉の暴力が続く。「やめろ」と思わず殴る羽座川。そんな羽座川の暴力を、バレー部の仲間は非難する。つらくなった羽座川はバレークラブの飛び出す。

言葉の暴力は非難されず、素手の暴力は非難される。022年3月27日、第94回アカデミー賞の舞台で、俳優のウィル・スミスがコメディアンのクリス・ロックをビンタした出来事は日本でもニュースになったが、今回の羽座川の行動も同じメカニズムだと思う。
言葉も素手も暴力は駄目なのだ。羽座川の暴力を引き出した下平も非難されるべきなのである。

ハリガネサービス下平鉋の罪:羽座川が交通事故に

バレークラブを飛び出した羽座川を追いかける下平。その下平が信号無視したためトラックに跳ねられそうになるところ、下平を助けるために下平を突き飛ばした羽座川が逆にトラックに跳ねられてしまう。

残酷な話だ。下平がいじめられているところを助けてしまったために、下平につきまとわられ、プライベートの秘密を暴露され、交通事故に遭ってしまった。だから、下平のような偽善者とは付き合っては駄目なのである。善意を押しつけ相手が喜んでいるならいい。だけど嫌がっているなら、そっとしておいてあげるのも善意なのだ。

力なき正義もまた無力なのですよby勇者アバン

さらにひどいのは、この過去を豊瀬高校のメンバーに暴露してしまったことである。小学生の羽座川が黙っていてくれとお願いしたのに、ここでも約束を破ってペラペラしゃべっている。

下平の偽善者ぶり、おわかりいただけただろうか。結局、人の心配をしつつ自分が一番かわいいのである。下平が羽座川の家をつきとめなければ、羽座川はこんなに傷つくことがなかったことを振り返るべきなのだ。

下平よ、ダイの大冒険を読み、アバン先生の言葉をメモしなさい。

正義なき力が無力であるのと同時に 力なき正義もまた無力なのですよ

まとめ

ハリガネサービス主人公下平が嫌いでも漫画は面白い

以上、下平の偽善者ぶりを紹介させていただいた。
ハリガネサービスは全巻読んだが、主人公下平のネガティブさと偽善者っぷりがひどくて好きになれなかった、私だけかもしれないが、これほどまでに主人公に共感できない漫画は、ブラックジャックによろしくの「斉藤 英二郎」以来のような気がする。

ほぼ同時期に連載していたバレー漫画「ハイキュー」の主人公「日向翔陽」は、めちゃくちゃ魅力的だ。人気漫画になって当然なのである。それと比べれば、ハリガネサービスの主人公像では人気にならないはずだが、そうはならなかった。

その理由は、下平以外のキャラクターの人物像がよく描けていたからだと思う。例えば同じ豊瀬高校のキャラなら、明るいキャプテン野々原やキモさが武器の家守のリベロの金田は魅力的だ。ライバルのバックストーリの描き方も面白い。とくにこの18~19巻の羽座川の描き方は見事。ついでに下平の暴走っぷりの描き方も見事である。そういったキャラの描き方が、一試合一試合の展開を面白くしているのである。

もしかしたら共感できない主人公を描き続けたのは、作者の狙いだったのかもしれない。ハイキューと差別化する意味でも成功だし、ハイキューの日向とは真逆の陰キャラでも、読者が離れないよう脇キャラを魅力的にしてバレーを描き続けた手腕は凄いと思う。おすすめできる漫画だ。

最後に。
羽座川の知られたない過去をこのように世間にさらし、下平の悪口を言ってる私が、最強の偽善者であることを付けくわえておきたい。

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