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夢や目標がない人生、どう生きればいいのか?

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夢や目標を持つこととが当たり前のことのように言われすぎていて、持ってないことが悪いことのように思えてくる。そんな生きづらさを感じる世の中になりました。
しかしながら、前回の記事にも書きましたように、目標を持てと言うことじたいがドリームハラスメントであるという考え方もあります。
そもそも、目標など持たなくても今できることを一生懸命やっているうちに、目標が生まれ成功している方も多くいるわけですから、目標を持たないといけないというわけではないのです。

とは言いつつも、夢や目標もなく一生懸命やるものも無い場合は、どう生きたらいいのでしょう・・・。

無いなら無いでどう生きたらいいのか、この疑問の答えがないと、「夢や目標がなくてもいいのだ」という意見も単なる負け惜しみになりますし、励ましの言葉にもなりません。

そこで、今回は、その疑問に対する答えになるのではないかと思われる辻秀一氏の理論について書きたいと思います。

ゾーンを引き寄せる脳の習慣

夢や目標がないとしても心の状態がよいことが大事

夢や目標がないなら、辻秀一氏のフローマインドを実践しながら日々過ごしていくのがよいのではないか。その考えに至ったのは、パフォーマンスの方程式が関係しておりますので、説明させていただきます。

パフォーマンスの方程式とは何かについては、本書の著者辻秀一先生と、私が尊敬する原田隆史先生の動画で説明されていますので、是非ご覧ください。

辻先生も原田先生も、メンタルコーチのプロです。そして両氏とも『パフォーマンス=何を×どんな気持ちで』と言われている通り、心の状態を重要視しているのは一致しております。

しかしながら、同じメンタルに関する理論であっても辻先生と原田先生のアプローチの仕方は若干違います。辻先生の理論を通して見れば、どちらかというと原田先生の理論は、認知の脳(=後述します)へアプローチする理論でしょうし、夢や目標を達成させるための理論です。

対する辻先生の理論は、フローマインド(=後述します)であり、夢や目標に関する考え方も若干違います。

ライフスキルとしての「夢を持つ」というのは、心がフロー化するための脳の機能なので、そこに認知による根拠や理由、そして叶うかどうかといった結果エントリーの発想は不要だ。というよりはあってはならない。

ゾーンを引き寄せる脳の習慣(P156)

こう言われているように、夢や目標が叶うか叶わないかという結果を重視しておらず、あくまでも心の状態を重視しておられるのです。

パフォーマンスの方程式『パフォーマンス=何を×どんな気持ちで』にあるように、『気持ち』は大事です。よって、夢や目標がないときでも、よいパフォーマンスを発揮するためには、やはり『気持ち』が大事なはずです。

よって、夢や目標がないときによい心の状態であるためには、目標達成ありきのノウハウを実践していくよりも、結果エントリーの発想は不要だというフローマインドを実践しながら日々を過ごしていく方がよいのではないか。それが私が出した結論になるわけであります。

フロー状態・ノンフロー状態とは何か?

そこで、まずはフロー状態について理解しておく必要がもあります。フロー状態を理解するためには、その逆のノンフロー状態も理解しておく必要があります。まずはフローについて語られている部分を本書から引用します。

報酬や見返りなど一切気にならず、そのことに没頭しているのが何より楽しく、何にも代えられないほどの充実感を感じる瞬間。この「最高の瞬間」に興味を持ち、「フロー」と名づけた心理学者がいた。アメリカのシカゴ大学教授ミハイ・チクセントミハイ博士だ。

ゾーンを引き寄せる脳の習慣(P5)

よい心の状態を「フロー状態」という。フローという心の状態は、前述したとおり、ミハイ・チクセントミハイ博士が提唱した理論をもとにしているが、一言でいうと「無我夢中で、楽しい、最高の心の状態」である。「心のエントリー」な生き方とは、このような「揺らがず・とらわれず」の心の状態を最優先する生き方である。

ゾーンを引き寄せる脳の習慣(P18)

フロー状態とは、「揺らがず・とわられず」という心の状態を言っているのであり、辻先生は、ごきげんな状態とも言われています。ではその逆、ノンフロー状態についてはどうでしょうか。

このような「揺らぎ・とらわれ」の心の状態を「ノンフロー状態」と呼んでいる。
わたしたちは、朝から晩まで、外部の状況や出来事に対して、意味づけという認知をしながら生きている。そして、その「認知」「意味づけ」が心をノンフロー状態へと導いているのだ。(もちろん、脳が「よいことだ」と認知するようなことが起これば、フロー状態にもなるのだが)。
したがって、人間がこの脳の機能を有する以上、誰もがノンフロー状態のリスクを負いながら、そしてほとんどの人はノンフロー状態に傾いたまま、日々生きているのだ。
わたしたちがそこそこのパフォーマンスしか発揮できない人生を送る理由は、この認知の機能によるノンフロー状態にあるのだ。

ゾーンを引き寄せる脳の習慣(P27~28)

ノンフロー状態とは、「揺らぎ・とらわれ」という心の状態です。

例えば、雨が降っていることそのものに意味がありません。ただ降っているだけです。その雨に対して「嫌だなぁ」とネガティブな意味づけするのは、人間の認知です。この認知ですが、人は多くの出来事にたいして、マイナスな感情で意味づけしがちです。なぜなら、人は不完全ですから、目の前に映る出来事は不完全だらけですので、マイナス感情の方が多くなるのは当然なのです。

そして、その「揺らぎ・とらわれ」の心であり続けた結果、パフォーマンスが落ちてしまうことも多々あることです。仕事やスポーツで失敗をひきずって、その後のパフォーマンスが悪かったなんて経験は誰にでもあることでしょう。ノンフロー状態では、高いパフォーマンスの発揮も難しいのです。

だからこそ、雨が降って嫌だと思っても、「揺らがず・とわられず」のフロー状態に戻れるスキルが必要になるのです。そして、フロー状態でいることが、高いパフォーマンスを発揮することにつながっていくわけですから、「揺らがず・とらわれず」のフロー状態でいるためのスキルを身につけることが大事であるわけです。

認知の脳がノンフロー状態を招く

認知の脳がパフォーマンスに与える影響

ノンフロー状態になるのは、脳の4つの機能(生命維持機能・知識の機能・認知の機能・スキルを学習し獲得していく機能)のうち、認知の脳が原因だと、辻先生は言います。

行動やパフォーマンスの内容を決定する場合、認知の機能は優れた力を発揮する。だが、心の状態という側面からみると、この認知のシステムこそが、「揺らぎ」を心に生み出し、潜在意識の中に固定概念や思い込みといった「とらわれ」すら生じさせる。認知が生んだ「揺らぎ・とらわれ」の心の状態こそが、パフォーマンスの大きさと向きに対する阻害因子となっているのである。

ゾーンを引き寄せる脳の習慣(P24)

前述したとおり、認知の機能は、心を「揺らぎ・とらわれ」な方向に引っ張りがちなわけであります。

この点については納得できるのですが、であるならば、なにもフロー状態でいるためのスキルを身につけなくても、「揺らぎ・とらわれ」なノンフローになったら、ポジティブ・シンキングすればいいのではないかという意見があるかと思います。

もっともなご意見なのですが、本当にポジティブ・シンキングすればよいのでしょうか?

ポジティブ・シンキングが駄目な理由

結論から言いますと、NOであります。必ずしもポジティブ・シンキングがいいわけではないのです。少し長くなりますが、辻先生の考えを引用いたします。

ポジティブ・シンキングとは、実は「認知の脳」を使う話なので、結局は無理があって苦しくなってっくる。短期的に認知を変えて行動の変化を起こして結果を出すにはいいが、コーチングや目標設定と同じで、心の状態には一切触れていないので、どこかで限界を感じ、むしろノンフロー状態になるリスクを負うことになるのだ。
ポジティブ思考やプラス思考の実践には、認知を変えるより先に「揺らがず・とわれれず」のフローな心の状態をつくることが必須であろう。ポジティブ思考を決して否定しているのではなく、一旦出来上がった認知を「ポジティブ」と言い換えるくらいでは、変えられないと言いたいのである。認知が出来上がる前に、よい認知を形成するというのは賛成だが、ネガティブな認知が出来上がっている自分をポジティブにしようするには無理がある。いずれ破たんをきたしかねない。なぜなら、ポジティブに考えようとしていること自体、根底にネガティブな自分がいるのだから。

ゾーンを引き寄せる脳の習慣(P37~38)

私もポジティブ・シンキングが好きではないのですが、それは辻先生のお考えとほぼ同じ理由です。コップに半分水が入っていて、「もう半分しかない」と思っているにもかかわらず、「まだ半分もある」と、ポジティブ・シンキングしても、半分しかないと考えた根本的な気持ちを変えることは難しいのです。

この視点は大事だと思っていまして、とくにコミュニケーションするうえでは気をつけたいところです。

世の中に出回っているポジティブ・シンキングのほとんどがコップのケースと同じような考え方のチェンジを言われていると思います。たとえば、仕事ができる上司やリーダーにポジティブ・シンキングを押し付けられて落ち込んだことがあったりしませんでしょうか。

もし、落ち込んだことがあるとしたら、それは、強引に自分の考えをチェンジさせられたわけですから、当然です。私がポジティブ・シンキングを好きになれないのは、こういう強引なことが起こりえるからです。

したがって、ノンフロー状態の解決策としてポジティブ・シンキングすればよいというのは正解とは言えないというのが私の考えです。

余談ですが、「もう半分しかない」と思っている人のその気持ちを大事にして、「まだ半分あると考えてごらん」と言わず、「慎重なんですね」というような「もう半分しかない」を別の意味づけにするのではなく、別の良い意味に聞こえるようにチェンジされるなら、それは素晴らしいことだと思います。

認知の脳による目標達成の手段もノンフローになるリスクがある

一般的な目標達成の手段も、辻先生から言わせればノンフローになるリスクがあるとのことです。

セルフコーチングでは、自分の抱える問題や目標の明確化から始まる。そして、そのために解決法の具体化や、それに向けた行動の計画などを自分の思考を整理しながら見つけ出していく。さらにはそれを阻害する障壁となるものを明確にし、そのための対策を立て、実行へと導く。目標達成や問題解決によって起こる自分の利益を明確にし、それを動機とするように意味づけることを繰り返していくのだ。
このような手法はすべて認知の脳での解決だ。行動の内容は明確になり、一見パフォーマンスの向上が望めるように思える。しかし、結局は心の状態を中心にアプローチしていないので、ノンフローになるリスクを負うだろうし、目標と行動に支配された「結果エントリー」の状態に自分を次第に導いていくことになる。

ゾーンを引き寄せる脳の習慣(P33~34)

目標達成の本などもたくさん出版されていますの読んだことのある方や、そういうセミナーに参加された方で、なかなか行動が変わらないとお悩みに方は、この辻先生の考えが参考になると思います。自分の心の状態を考慮せず目標達成に向けた行動をしているかもしれず、結果が出ないためにノンフローになってはいないか内省してみるのもいいでしょう。

だからまずは、フロー状態でいられるようなライフスキルをみにつけ、今に生きるのだ

夢や目標を立てないで成功する方法

フローマインドの実践者である元ブレイクダンサーの石垣元庸氏が、目標を立てずにどう成功していったか語ってくれている動画ありますので紹介いたします。

石垣氏のように、良い心の状態でいることを意識し、自分なりに出来ることを一生懸命やることで、何かしらの成功を得ることができるケースもあるのです。

なお、このyoutube動画は月刊フローマインドの一部です。私は一時期、辻先生の月刊サービス「月刊フローマインド」の会員だった時期があり、石垣氏の対談はすべて視聴しましたが、理論的でありながらふんわりした人物という印象を受けました。というかフローマインド実践者は、ふんわりとした人物という共通した印象がある気がします。自然体でいることの素晴らしさがにじみ出ているのかもしれませんね。

ゾーンを引き寄せる 脳の習慣 まとめ

夢や目標がない時期はフローマインドで今に生きよう

夢や目標があって当たり前のような時代、夢や目標がないことで生きづらさを感じることもあるかと思います。

しかし、夢や目標がないときに無理矢理探しても、認知の脳の影響を受けノンフロー状態になり、悪影響な結果になるかもしれません。そんな状態で自分の夢や目標が見つかるのでしょうか。難しいと思います。
であるならば、夢や目標がない時は心がフロー状態でいられるスキルを身につけることに集中し、そんなフロー状態の中で何かしらの夢や目標が見えてきたら、それに向かって一生懸命やればいいのだと思います。

ここで言うスキルとは、技術ではなくて本書の後半で説明されている20個のライフスキルのことであると補足させていただきます。詳細は本書をご覧いただけたらと思いますが、概要については辻先生の動画をご覧ください。

夢や目標がある状態なら、原田メソッドのようなやり方で目標達成を目指し、夢や目標がない状態なら、辻メソッドのようなやり方で、心のフロー状態を保ちながら今に生き、内から湧き上がってくる夢や目標を待てばいいのだと思います。人生は、このようにその状態に応じたメソッドを使い分けて過ごしていけばよいのではないでしょうか。

さて、今のあなたはどちらの状態で過ごされていますでしょうか。今の状態にふさわしい過ごし方ができていると嬉しいかぎりです。決して希望がないわけではないのですから。

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