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「自分の使命は何だろうか。」誰もが1度は考えたことがあるであろうこのテーマですが、どのようなときに考えますでしょうか。
2021年の5月、現在であれば、新型コロナウィルスの影響と度重なる政府の緊急事態宣言により経済的なダメージを受け、廃業・失業で、なんとか収入を得る方法を考えつつ、これからの人生を考えているときでしょうか。あるいは、社畜のようなサラリーマン人生から解放され、自分らしく生きたいと転職を検討しているときでしょうか。それとも、社会までもが何かの病に蝕まれているような気がして、社会を変えたいと正義の魂が燃えたときでしょうか。
私は、これからは自分を変えていきたいと思いはじめてからずっと『使命』について考えてました。「自分の使命は何か、使命を知ることにどんな意味があるのか」と。
そこで「そもそも使命とは何か」を知り言語化できるようにしようと、読んだ本がこちらの本になります。
目次
使命の本質
使命とは
この『使命』という言葉ですが、『ミッション』やら『ビジョン』やら『理念』やらと、似たような概念の言葉があります。大企業の社長、政治家、ボランティアに生きる人など、立場の違う方が語るとニュアンスすら違うこともあります。「自分がしたいこと」なのか「自分がすべきこと」なのか、「目標は何か」と合わせて考えると、混同や混乱する代物であることがわかります。
では、本書の著者はどのように言っているのでしょうか。
使命という言葉を聞くと、自分の好きなこと、やりたいことだと思う人や、運命や宿命といった堅苦しい重いもの、自己犠牲的なものだと思う人もいらっしゃいますが、どちらも本来の使命の概念とは違います。
使命は人生の目的であり、真の成功、最高の人生の秘訣です。
そして、使命は生まれる前に与えられているので、気づくものです。
人が自分の使命に気づき、それに向かって歩む時、多くの富が得られます。
様々な助けや充実感が得られ、感謝され、あなたとあなたの周りが良い方向に変換していくのです。ビジネスと人生に飛躍をもたらす 使命の本質(P18)
もし、自分の好きなことや、やりたいことが使命だと思っているとしたら、それは違うと著者は言ってるわけです。最近の若手実業家には起業コーチの方も多いですが、そういった方々はたいてい「自分の好きなことをしよう」といったメッセージを発してます。もしそのメッセージを受けた方が、自分の使命と自分の好きなことを結び付けて考えてしまい、やる気になってしまったとしたら、やけどするかもしれません。自分の使命と自分の好きなことは違うものかもしれないと冷静になることが必要なわけです。
使命の本質とは
影響力のある人が、目標や使命を好きなように語れば、聞いている人も好きなように解釈するわけです。その解釈で幸せになれたならよいのですが、誤った方にいった場合は大変です。たとえば悪い宗教にハマってしまうようなことになるかもしれません。
そういったことにならないよう使命の本質とは何かを知る必要があると私は考えました。そんなときに本書を見つけ読んだわけですが、本質についても語られていた箇所は、大いに納得できるものでした。
使命の本質が今まで広まっていなかった理由は次のようなものだと思います。
・ほとんど全ての人が世俗的な視点か宗教的な視点に偏っている。
・使命は、今までの常識の反対が多い
・使命は、シンプルだが不快概念なので多面的に見ないと全貌が分からない
・使命の全貌が正しく解き明かされていなかった。
これらの理由により使命の本質が見えない状態でした。
世俗的な人は「自分は何をしたいか」という視点で使命を認識しようとし、宗教的な人は、「自分は何をすべきか」という運命的・形式的に認識しようとします。どちらも使命の本質からずれます。
使命の本質は、世俗的でもなく、その視点は「どう生きるか」です。会社であれば、「どのような事業をするか」です。
✖何をしたいか(世俗的)
✖何すべきか(宗教的)
〇どう生きるか(使命的)ビジネスと人生に飛躍をもたらす 使命の本質(P38)
「何をすべきか」は、使命を考えるときに陥りがちな思考です。「~すべき」という言葉は他の事はやっちゃ駄目だよという重さがある気がして、自分の使命を考えるうえでは足かせになる気がします。「~すべき」は自分だけでなく、何かに決められている気がするのです。
しかし、本書では「~すべき」を『使命的』ではなく『宗教的』であると整理されています。この整理がポイントだと私は思っていて、同時に納得したところであります。「何をすべきか」と「どう生きるか」は、わりと混同して使われがちという印象を受けてましたので、明確に分けられてスッキリしました。
「どう生きるか」という視点は、何かに決められているのではなく、自分で決めている気がします。少なくとも「~すべき」よりは重くないと私は思うのです。
使命の見つけ方は6つの視点にあり
では、自分の使命を知るにはどうすればよいのでしょう。使命を知る上で大事な視点は6つありました。
②自分の使命を知る
性格・役割・才能・過去・現在・未来の視点で自分の使命の方向を認識します。ビジネスと人生に飛躍をもたらす 使命の本質(P102)
ということで、『性格・役割・才能・過去・現在・未来』の視点から自分の使命を知ることができるそうです。できるそうですと他人事のように言っているのは、実は本書を読んだだけでは自分の使命を知ることができないからです。本書は、性格から使命を知る方法は説明されていますが、その他の方法については説明がありませんでした。
その性格から使命を知る方法は、イメージとしてはタイプ論に近いものと思ってください。獅子・雄牛・人・鷲と4つのタイプがあります。しかも診断じたいはWEBで無料でできます。リンクを貼っておきますのでお試しされてはいかがでしょうか。
補足ですが、本書を購入すると巻末に特典サイトが紹介されています。そこでは、『使命』を5つの役割から知る方法についてレポートとして受け取ることができます。
この6つの視点からの分析は、たしかに診断ツールがあった方がわかりやすいですが、自分の力でできないことではなさそうです。時間かけて自分を内省すれば、自力で自分の使命に気づくことができるかもしれませんね。
使命を知ると学びにどんな得があるか
ひねくれて考えると、人口は何十億人といるわりには、使命の方向性は、性格診断でも4つ、役割診断でも5つですから、少ない気がします。それで参考になるのかとはじめは思ったのですが、話半分のつもりで診断してみると参考になることがわかりました。
というのも、私のことになりますが、エニアグラムや今回の性格診断の両方を診断してみますと、診断結果として似たようなタイプに落ち着くことが判明しました。同時に、どうしても該当しないタイプもはっきりすることになります。
こういう結果を知れるのはありがたいことです。この方向は違うんだということがわかれば、次の2つの利点を得ることができるからです。
1・無駄になりがちな苦手な方向の学びをしなくて済むので、費用と時間が節約できること。
2・自分の苦手な方向を知ることで、意図的に苦手な分野を強化する学びを戦略的に行うことができること。
1についてですが、自分にないスキルに対しては憧れを抱くこともあり、ないものねだりで学ぶこともあります。そのまま時間が経過すると続けていないことが多々あり、お金と時間の無駄になるわけですが、自分の方向性と何を学べばいいかがわかっているなら、学んでも続かない可能性があるものについては、事前に避けることができます。
2ついてですが、苦手な方向性がわかったなら、弱点強化目的として意図的に学ぶことができるということです。ないものねだりでしたら無駄になるかもしれませんが、弱点強化と目的がはっきりしているなら効果的でしょう。ただし、やはり苦手な方向性なため、続かない可能性はあります。
自分の使命を知ることや自分がどんなタイプの人間かを知ることは、自分を変えたいと何かを学ぶうえでも大事なことであり、意味あることなのです。その点を認識できたのは、非常に大きな収穫でありました。
使命に生きようとあがくことは逃げなのか
「自分の使命は何か、使命を知ることにどんな意味があるのか」と使命の本質を考える前は、「何をしたいのか」や「どうやってお金を稼ぐか」など、『世俗的』に考えてました。
ほんの少し勇気を出してお金を使えば、教祖のような起業コーチから億を稼ぐようなノウハウを教えていただけるかもしれません。世俗的と言えど、お金持ちになれるのならいいではないかという考えもあります。しかし、私には『世俗的』なことはできません。何だか人を騙しているような気がするからです。
やっぱり『どう生きるか』が重要です。人の役に立ちたいですし、だからこそ、自分の使命が知りたいのです。そのためなら、億を稼げる話なんかに行動力を使いたくありません。それが私の決意です。
しかし、その決意は嘘ではないのですが、真実でもないのです。使命を追及することで、心の奥の本心はもっと別の理由があり、『世俗的』を避けていることに気づいてしまったのです。
その本心は何かというと、「世の中の成功法則通りに行動できない自分を非難したくないだけ、自分が目指しているのは使命だということにして、行動できないことから逃げてるだけ」というの逃げの感情でした。使命のせいにして逃げていることに気づいてしまったのです。
皮肉なものです。使命の本質を追及していたら、自分の弱さに気づいてしまったわけですから。
ですから私は、弱さから逃げていることを認めることにしました。たとえ、自分の使命は何かと考えて、なんとかしたいと足掻いていることが、弱い自分からの逃げだとしても、人生から逃げたわけではないと、これだけは言えます。足掻きには、立ち向かうとしている気持ちが残っているからです。
使命の本質:まとめ
使命には、世俗的・宗教的・使命的という考え方があり、持つべきは使命的な考え方であることがわかりました。使命を知ることは、よい学びをするうえで意味があります。一方で、使命を考えることは行動できない自分からの逃げていることにもなっていたという自分の心の闇の部分に気づけたのも、その闇を乗り越えていくうえでは収穫ありでした。
そして、使命の本質についてはまだまだ書ききれていませんが、使命の本質は次の7つの富をバランスよく拡大していくことだと著者は語っていることをお伝えしたいと思います。
真の富とは次のような7つの富を全て合わせたものになります。
①お金などの資産
②才能
③知恵
④愛情(家族や友人、周囲の人間関係)
⑤環境(生まれ育ち、経験)
⑥自分という富(健康・品性)
⑦使命ビジネスと人生に飛躍をもたらす 使命の本質(P46)
世の中の成功者だけが語る自論としての使命。しかし、その成功者と自分は違う人間ですから、彼らの自論が自分に当てはまるとは限りません。ですから、本質的なことを知る意味があるかと思います。本質的なことを知れば、どう生きるかという考え方を学べますし、その考え方を自分の中に落とし込めたなら、子どもや部下の教育にも役立つでしょう。
本書を読んですぐに自分の使命がわかるわけではありませんが、一読の価値はあるかと思います。