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「夢がない」そんな若者に「夢を持て」と言う社会、それはハラスメントだ!

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「夢を持とう」よく聞く言葉です。しかし、私はこの言葉が当たり前のように語られることに疑問を感じております。

世の中の成功者達は、テレビや雑誌でイキイキとした姿を見せつけ、「夢を持とう、行動しよう」と素敵笑顔で語ります。何かに夢中で大人顔負けの夢を語る小学生もいたりして、夢を持つことの大切さが画面越しに伝わってきます。

しかし、夢がなかった私は、そんな輝かしい彼らの姿を眺めては嫉妬し、「夢を持とう」の言葉を聞いて、いつも劣等感を感じるしかありませんでした。

夢が無いことが生きづらく感じることがある社会。はたして本当に「夢を持つこと」は必要なのでしょうか。

 

 

今の若者は無気力なのか?そんなことはない余計なお世話だ!

結論から言います。夢がない時に夢を持て言われたなら、余計なお世話だと怒りましょう。
本書ドリームハラスメントを読むと、夢なんてなくていい、堂々と生きればいいと思うことができます。
なお、『夢』と似たような意味合いで『目標』という言葉が使われる場合もありますが、この記事では、以下『夢』に統一させていただきます。

夢がないのに夢を聞かれる。そんな就活はハラスメント!

とはいえ、ドリーム・ハラスメントとは何でしょう。なんとなく意味が通じるかと思いますが、本書の文章を引用したいと思います。

大学生の7割は以上は卒業後の進路で就職を選びます。その就職活動における面接で、彼らは夢を問われています。面接官を経験した方であれば、「あなたの夢を教えてください」「10年後どうなっていたいですか」などと大学生に夢を聞いたことがあるのではないでしょうか。
実はそれ、ハラスメントなんです。もちろんすべてではありません。なかには夢を持ち、夢の実現のために日々努力して生きている若者もいるでしょう。
しかし、私が現場で相談を受けるのは「夢なんて無いんですけど、どう答えればいいんですか」という嘆きや不満の声です。私はこれを「ドリーム・ハラスメント」と呼んでいます。嫌がらせだと感じる受け手が後を絶たないからです。

ドリーム・ハラスメント(P3~4)

10~20代の若い頃「夢を持たないと息苦しい」と感じたことがある私にとって、著者の高部大問氏の考えには共感できます。恐らく今も小学校の作文で「将来の夢」を書くところもあるかと思われますが、夢がない人には書きづらいかもしれません。

そもそも将来なんて、そんな先のことはわかりません。1年先のことすらわかりません。しかし、社会では多くの場面で「夢を持ちましょう」と聞かされます。もはや嫌がらせ、ハラスメントですね。

夢を持つ大切さはわかっておりますが、若い頃の私には難しいことでした。それほど裕福な家庭ではなかったため、いつもお金の心配が絶えず、そのせいで何かをあきらめることが多く、そのせいか夢ですらあきらめる癖がついていたからです。結局、夢よりも安定を求めて、就職します。しかし、こんな仕事を一生の仕事にしたくないと夢を追いかけるため退職します。なのにまた夢から逃げ、また安定を求めて就職。そしてまた夢を求めて退職。その繰り返し。我が人生は馬鹿らしいです。

人に自慢できるほどの夢を持っているわけではなく、いまだ行動することに慎重なのは、夢を持たない若者時代に定着した逃げ癖の後遺症でしょう。

そんな後遺症に効果がある良薬のような言葉が、本書「ドリーム・ハラスメント」にはありました。その一部を紹介いたいと思います。

夢がないって、人は夢を持って生まれてきたわけではない

私は今まで、夢がないと悩む人に対し、「夢がないからと言って悩む必要はないと思うよ」と励ましつつも、何故そう言えるか、追いかけの言葉が見つかりませんでした。効果的に励ますためにもここで追いかけの言葉ほしいのですが、センスがないため言葉が出てこないのです。しかし、次の一文は追いかけの言葉に相応しい名言だと思いました。

考えてみれば、人は誰しも、「叶えたい夢があるから是非生んでほしい」と両親に懇願してこの世に生を受けたわけではありません。夢は「無いのが普通」です。

ドリーム・ハラスメント(P9)

まさに目から鱗とはこのこと。そうです、そもそも人は夢を持って生まれていないのに、なぜ夢を持っていないことで悩む必要があるのでしょうか。
夢を持って生まれていないのだから、夢が無くて当然ではないですか。たしかに夢がある人がいますが、「夢があってよかったね、頑張ってね」と言ってあげればいいだけの話であり、夢がない人と比較して優れていると断言できるわけではないのです。

夢がないって、物が溢れている今の時代では当たり前

いま、日本は夢を持ちやすい国なのでしょうか。物質的に豊かになり、「無いものが無い」という満たされた状況で、強烈に何かを欲するというのは万人にできることではありません。それなのに、私たちはつい若者たちに「夢は?」「やりたいことは?」と執拗に迫っていないでしょうか。

ドリーム・ハラスメント(P10)

>強烈に何かを欲するというのは万人にできることではありません。

お金がなくてなかなか買えなければ、欲しいという欲求は強烈な夢となるでしょう。しかし、お金があって簡単に購入できてしまえば、夢は叶ってしまいます。

お金があればなんでも手に入る世の中に生まれたなら、何かを得る夢の場合、夢を持ち続けることは難しいでしょうか。お金があれば買えてしまうわけですから、すぐに夢が叶います。

物質的に豊かであるということは、夢が持ちづらい原因のひとつかもしれません。

夢を叶えた者は、はじめから夢を持っていたわけではない

 

そもそも成功者は、はじめから夢を持っていたのでしょうか。少し長文になりますが、次の引用文を読んでみてください。

夢が組織の重要な原動力であることを明言しているのはソニーです。『Works 72』(リクルートワークス研究所)では「夢はソニーの根幹でありDNA」であると紹介されています。
ところが、創業者の井深大は、東京通信工業(現ソニー)を起業する際に夢を持っていたわけではありませんでした。そうではなく、官庁や放送局などから与えられた仕様書に基づきモノを生産する中で、「何か大衆に直結した商品をやってみたい」と思ったのです(「Sony History」同社オフィシャルサイト)。同社のもう一人の創業者・盛田昭夫も、創業当初は「その日その日を暮らして」おり、「何か仕事を見つけていく」ような状態で、とても「将来がどうなろう」などという「大きな望みなんて抱いていなかったというのが本当」と回顧しています(ビデオ『日本解剖 経済大国の源泉』NHKエンタープライズ)。
やはり、まず行動が先で夢は後から、が実態なのです。

ドリーム・ハラスメント(P29)

「行動が先で夢が後からである」つまり、夢を描いて行動したら夢が叶ったというわけではないという主張のようですが、著者のこの視点は非常に大切だと思います。

たとえば、スターバックスを成長させたハワード・シュルツ氏は「自分が会社の経営者になろうとは夢にも思わなかったと語っています(『スターバックス成功物語』日経BP社)。
同様に、いまや世界が熱狂し、アメリカの歴史あるニュース雑誌『TIME』の「世界で最も影響力のある100人」(2015年)にも選ばれた片付けコンサルタントの近藤麻里恵氏は、「まさか片付けが仕事になるとは」と予想だにしなったことを告白しています。(『人生がときめく片づけの魔法』サンマーク出版)

ドリーム・ハラスメント(P29~30)

やはり「夢を持ってたから夢が叶ったわけではない」というケースの紹介です。ビジネスにおいては、このように行動が先で成功されたパターンが多いのではないでしょうか。

この例だけをもって、夢はなくてもよいとは言えませんが、夢を持つのが必要なことかと言うと、NOとも言えるのではないでしょうか。

ですから、自己啓発セミナーで「夢を叶えるノウハウ」などを販売している方々も、最初は夢など持たず、行動して成功した可能性が高いです。しかし、成功したとたん「夢を持て」といって、夢が先のように自分の成功例を商材として販売しているとしたら、果たしてそんな人の言うとおりに行動して成功するのでしょうか。

夢を持たずに成功している方がたくさんいるわけですから、お金を払ってまで夢の叶え方を買う必要はないと思います。

夢がない、それでも夢を持ちたいならば、キャリア・アンカー論

①キャリア・アンカー理論
心理学者エドガー・シャイン氏が提唱したキャリア・アンカー理論によると、個人が組織からの影響を受けても決して「失われないもの」があり、それをキャリア・アンカー(キャリア・アンカー wiki)と言うそうです。そのキャリア・アンカーに夢を持つヒントがあると著者は言います。

アンカーとは「錨」。人生という航海をするなかで揺るぎ無いものを錨に喩えました。
具体的には「自覚された才能・能力」「自覚された動機・欲求」「自覚された態度・価値」の3つの成分がブレンドされたものを指すとされています。すべてに「自覚」が含まれているように、客観的な診断結果などではなく、主観的な自己イメージがキャリア・アンカーです。
では、その揺るぎ無い錨はどうやって自覚できるのでしょうか。シャイン氏は、次の3つの問いが自分のキャリアの拠り所を探る出発点であるとしています。
①自分は一体何が得意か
②自分は本当のところ何をやりたいのか
③何をやっている自分に意味や価値が感じられるのか

ビジネス界では、①をCAN(できること)、②をWILL(やりたいこと)、③をMUST(すべきこと)と簡略化して、まず③MUST(すべきこと)を実行し、①CAN(できること)が増えれば、自ずと②WILL(やりたいこと)が生じる、と提言されることがあります。

ドリーム・ハラスメント(P211~212)

すべきことがあり、なんとかこなしていくうちにできるようになり、やりたいことがみつかる。前述しました成功者もこのパターンです。

みうらじゅんさんも、『「自分をなくす」ほど、我を忘れて夢中になって取り組んでみることです。新しいことはそこから生まれます(「ない仕事」の作り方:P6より)』と語られてます。

『プロ野球選手になりたい』という夢を持ってから野球をはじめた人もいるでしょうが、野球をはじめてから『プロ野球選手になりたい』という夢を持った人もいます。後者のようにやってみてから夢を持つこともあるわけです。自分は何になりたいのかと自分探しをするよりも、『今やっていること』に今以上に真剣に取り組んでみることも夢を持つヒントになるかもしれません。

なお、無料でキャリア・アンカー診断が受けれるそうです。まずは、やってみてはいかかでしょうか。

まとめ

夢がある時や夢がない時の過ごし方こそ大切なこと

行動することに臆病な私は、目標達成のメソッドである原田メソッドを学びました。その学びであらためて「夢を持つこと」の大切さがわかりました。
しかし、同時に、夢を持っていない人に「夢は何か」とか「夢を持とう」と言うことは、ハラスメントであるという視点が大切なのも、本書を読むことでわかりました。

夢が叶ったあとも、人生は終わりではありませんから、夢がない状態になるかもしれません。もちろん、すぐに次ぎの夢をもつかもしれません。夢をあったり夢がなっかりはずっと続くのです。

大切なのは、「夢がある時」や「夢がない時」、それぞれの「時」でどう過ごせばよいかでしょう。

私の気づきではありますが、「夢がある時」は、目標達成系のツール・メソッドを活用すればよいかと思われます。
目標達成のメソッドとしては、原田メソッドはおすすめですが、メソッドには好みがありますので、七つの習慣が合っている方はそちらを活用すればいいし、苫米地式コーチングが合っている方はそちらを活用など、自分に合ったものを活用すればよいかと思われます。

そして、「夢がない時」は、「今を楽しく生きる系」のツール・メソッドで過ごされるのがよいと思われます。スラムダンク勝利学の辻メソッド(フローマインド)でもよし、禅などもよいかもしれません。

所詮私は凡人です。目標なんて持ち続けれませんから、目標達成系と今を楽しく生きる系を行ったり来たりする過ごし方がよいと結論を出しました。

こうやって、ドリームハラスメントに負けないよう生きていきたいと思います。

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