自分を語るにしても商品を語るにしても、ストーリーが効果的であるのはわかるのですが、「どうしたら自分や商品のことを、ストーリーにして上手に伝えることができるか」という課題があります。
なんとか頑張ってストーリーを作成したところで、読み手が面白いと思わなかったら意味がありません。そのショックたるやいなや・・・。
そこで、ストーリーの作り方について、手元に教科書のような本がほしいと探していたところ、よい本がありましたので紹介いたします。
「ストーリーブランド戦略」です。
目次
ダイレクト出版の本「ストーリーブランド戦略」
どんな仕事でもストーリーは必要のはず
映画やアニメ、漫画の制作者が、「この話は面白い」と思っても、視聴者や読者が面白いと思わなければヒットしません。ですから、物語を作る人達にとってはストーリーが面白いかどうかは死活問題だと思います。
では、ビジネスマンならどうでしょう。ストーリーとは無縁でしょうか。
例えば、取引先や上司を相手にプレゼンするとき、相手の反応が気になると思います。つまらなそうにしてたら、冷や汗が出ますね。だから興味を持ってもらえるよう、構成は考えられていると思います。相手に面白いと思われる構成を考えること、それもストーリーですよね。であるならば、ビジネスマンもストーリーとは無縁ではありません。
ブログ記事を書いてる人はどうでしょう。ストーリーとは無縁でしょうか。
いやいや、読んでくださっている人がいるなら、読者の評価は気になります。一生懸命考えて投稿してもつまらないと思われていることを想像しただけでもゾッとします。
映画制作者にしてもサラリーマンにしてもブロガーにしても、抽象化すれば表現者であり、相手から良い評価があることで成果になるわけですから、表現する仕事ならやはり面白いストーリーが書ける必要があるでしょう。
ストーリーがつまらないと情けなくなる
私の話になりますが、ブログ記事を書いているとき、頭では「読者目線で」と思っていても、どうしても自分の言いたいことを書いてしまいます。「相手目線の思考」がありながら、「自分の好きなことを書きたい私=ひとりよがり」が出てくるのです。そして、文章を書くことにおいては、いつも「ひとりよがり」が勝ち「相手目線の私」が負けてしまいます。
資料作成している時も同じです。読み手のことを想って面白く伝えようとしていても、いつの間にか自分の伝えたいことを盛り込みすぎて駄目出しされます。やっぱり「ひとりよがり」が勝つのです。
「ひとりよがり」に身を任せて、ウケればよいのですが、たいていはスベッてます。そうなるとますます、ストーリーを書く自信がなくなりますね。モチベーションも下がりまくりです。情けない・・・。
それにストーリーは自分を語ることだけに使うわけではありません。商品を売るときにもストーリーが必要です。「その商品の魅力を最大限に表現できる人でありたい」そう思うなら、面白いストーリーを書くコツは知っておきたいところです。
「そんな課題を解決してくれそうなノウハウはあるのかな?」
そこで出会ったのが「ストーリブランド戦略」でした。
ストーリーブランド戦略の重要なところ
そもそも何故ストーリーがよいのだろうか?
そもそも何かを伝えるために、何故ストーリーが効果的なのか疑問でした。
その疑問の答えは、本書のP22とP23に書いてあり納得しました。
脳は情報を処理するときにカロリーを消費する。だが、不要な情報でカロリーを消費するのは避けたい。
無駄なカロリー消費は生存の欲求に反するからだ。ストーリーブランド戦略(P22)より
たくさんのカロリーを消費せずに済むよう情報を整理できる最強の手段は「物語」である。
ストーリーブランド戦略(P23)より
「読み手に負担を与えることなく、情報整理していただくことができる」それがストーリーの力です。「読み手に負担を与えない」と意識することは、面白いストーリーが書くことと同じくらい大事なことだと思います。
そしてストーリーブランド戦略は、読み手に負担を与えないストーリーを作るフレームワークがあります。
では、そのフレームワークとは一体どういったものなのでしょう?
ストーリーブランド戦略のフレームワーク
フレームワークを理解する前に、この本で伝えたいストーリーブランド戦略とは一体なんのかを、きちんと理解する必要があると感じました。それは、本書P4の冒頭で語られています。
本書で述べるのは企業の物語を伝える方法ではない。そんな本は時間の無駄である。消費者は普通、企業の物語に関心なく、自分の物語を気にかけている。
物語の主人公は商品やサービスではなく、顧客である。桁外れの成功を収めるすべての企業はそのことを知っている。
本書では、7つの要素で構成される枠組み(フレームワーク)を紹介する。ストーリーブランド戦略(P4)より
主人公は、顧客である。それが、ストーリーブランド戦略の大事な考え方のようです。
では、ストーリーブランド戦略のフレームワークにはどういう要素があるのでしょう。
たいていの物語は次のように要約できる。
何らかの目的を持つ主人公が、それを達成する前に問題に出くわす。主人公が絶望の淵に立たされたとき、導き手が現れて、計画を授け、行動を促す。その行動により、主人公は失敗を回避して、成功に至る。ストーリーブランド戦略(P35)より
黒太字がそのまま、フレームワークの7つ要素であります。
物語の7つの要素
ストーリーブランド戦略の7つの要素とは次の7つです。
1.主人公
2.問題の特定
3.導き手の登場
4.計画の提示
5.行動の喚起
6.回避したい失敗
7.成功する結末
各要素の詳しい書き方は本書で学べます。フレームワークの使い方はこのままだと少しわかりずらいのですが、P53のスクリプトを見るとなるほどと思いました。そのスクリプトの画像が↓です。
このスクリプトを埋めていけば、良いストーリーが書けるわけです。
このスクリプト、本当にほしいです。この本を買うとスクリプトが手に入ると嬉しいのですが、さすがのダイレクト出版でもそこまでは気が回らないみたいですね。
伝える情報を簡潔にまとめる3つの質問
フレームワークだけはありません。
会社が発信する物語をわかりやすくし、物語が顧客自身のことであると感じさせるためには、次の3つの質問に答えられる必要があります。
1.主人公は何を求めているのか
2.主人公が望みを叶るのを妨げているのは何か
3.望みを叶えた場合(または叶わなかった場合)、主人公はどうなるのか?
この3つの質問を押さえておくことで、わかりやすく伝えることができます。
たしかに、文章を書いていると何でもかんでも情報を詰め込みたくなるのですが、それでは読み手が混乱します。わかりずらければ読み手に伝わりません。
そこで、この3つの要素を押さえて、シンプルにわかりやすく伝えましょうということです。
4つの要素を組み込んだ一言紹介文
それともう一つ。会社や商品を一言で伝える必要があります。いわゆるキャッチコピーのようなものです。
ようなもの・・・という言い方をしたのは、本書で以下のように語られているからです。
会社の一言紹介とは、「お仕事は何ですか」という質問に対する、これまでよりもずっと効果的な回答である。
いわゆるスローガンやキャッチコピーの枠にとどまらず、消費者が商品やサービスを必要とする理由に気づいてもらう一言である。ストーリーブランド戦略(P198)より
つまり、ここでも語られていますが、あくまでも主人公は顧客(消費者)です。だからこそ企業や商品のイメージを伝えるキャッチコピーだけでは駄目だよということなのです。
その4つの要素とは何でしょうか?
それは以下の4つです。
1.主人公
2.問題
3.計画
4.成功
前述のフレームワークの7つのうち、この4つで一言紹介文が作れます。この一言紹介文のノウハウがわかっただけでも、この本を買って得したなと思いました。
一言紹介文の作り方は、本書P202の具体例がわかりやすいので引用します。
・主人公:子育て中の母親
・問題:忙しさ
・計画:短期間で効果のあるトレーニング
・成功:健康を維持し、活力を取り戻す
・「忙しいお母さんが、健康を維持して元気を取り戻せるように、短時間で効果のあるトレーニングを提供しています。」ストーリーブランド戦略(P202)より
単なるキャッチコピーではなく、主人公が商品によってどう変化するかが語られていますね。
顧客(消費者)を主人公にすること、なんて当たり前のことかもしれませんが、意識していなければ忘れてしまいがちです。でも、このフレームワークがあれば、忘れなくて済みます。
たしかにこの本なら「ひとりよがり」が現れても、フレームワークという武器でやっつけることができそうです。では試しに、今回の私のことを例にして「ストーリーブランド戦略」を紹介文を作成するワークをしてみましょう。
・主人公:ブロガー
・問題:ひとりよがりなつまらないストーリーを書くこと
・計画:フレームワークを利用して面白いストーリーを書く
・成功:みんなが夢中になって読んでくれるストーリーが書ける
「ひとりよがりつまらないストーリーを書くブロガーが、みんなが夢中になって読んでくれるストーリーが書けるように、魔法のようなフレームワークを提供してます。それがストーリーブランド戦略です。」
できました!これって、なかなかよいかも。
ストーリーブランド戦略(ダイレクト出版)まとめ
主人公は顧客(消費者)である。
当たり前のようでいて忘れてしまいがちなことですが、きちんと消費者=読み手を意識して表現することが、「ひとりよがり」に勝つ秘訣であり、そのためには本書のフレームワークが武器になることがわかりました。
誰だって、自分が主人公として語られているストーリーなら、注目してくれますよね。だから読み手を主人公にするのです。
本書は、「どうわかりやすく伝えるか、どう情報を整理していくか」という点について、その方法論が体型化された本ですので、すでにストーリーに書き慣れている方が読むとしたら睡眠誘発剤になるかもしれませんが、逆にストーリーブランドのフレームワークで、表現方法を磨きたい人は、よい武器を手に入れることになると思います。
私は「ひとりよがり」のせいでつまらないストーリーを書いてしまっていることが課題ですので、武器としてこのフレームワークを知ることができたのはラッキーでした。
あとはこのフレームワークを使いこなせるよう実践を重ねることで、「面白いストーリー」が書けるよう精進するのみです。
ストーリーブランド戦略が気になる方は、ぜひ詳細をご確認ください。