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いたずら、素行不良、夜尿、過食摂食障害、不登校といった子供の問題行動ですが、誰のせいで問題行動をおこすのでしょうか。おそらく子供の問題行動の多くのケースでは、親のせいになりがちです。そして、親が責任を背負い、解決に疲弊することになります。
しかし、本当に親のせいと決めてよいものでしょうか。いいえ、そんなことはございません。それは家族療法を学べはわかることなのです。
目次
マンガでわかる家族療法 親子のカウンセリング編
子供の問題行動の原因は親のせいなのか?
私には小学1年生の娘がいます。いつも、にこにこ楽しそうに学校に通ってくれているので手がかかりませんが、それは今だけの話かもしれません。今後、不登校やいじめの問題に巻き込まれるかもしれないのです。
もし、不登校になったとしたら、「一人で留守番はできないだろうから、会社はどうしようか。妻も働いているし、お互いそう簡単に会社を休むことができない。不登校が長期化したら会社を辞めざるを得なくなるのかな。妻が会社を辞めたらしんどいな、住宅ローンだって残ってる・・・こうなったのは一体誰のせいだ?」と、考えなくてはならないことが一気に噴出します。
原因がいじめだった場合、「誰がいじめたのか? 学校は何をしていたか? いじめっ子の親はどうしているのか? 誰も気づかなかったのか? 今後の学校の対応は?」と、こういう流れになるでしょうし、いつ解決するのかわからない話に、疲弊するでしょう。
仕事と家庭で疲弊すると、精神的にも肉体的にも消耗して夫婦関係も冷え込み、生きた心地しない日々を過ごすことになるかもしれません。そんな日々まっぴらごめんです。
仮に、子供の問題行動の原因が親である自分のせいだスクールカウンセラー言われたとしたら、どうでしょう。子供の問題行動を改善するには、親が改善しなくてならないと言われたら、認めることができるでしょうか。おそらく、認めることができない人も多いと思います。
では逆に、子供の問題行動の原因は親ではないし、子供の問題行動は改善すると言われたらどうでしょう。その先生の指示に従ってみようという気になるのではないでしょうか。
家族療法(システムズアプローチ)は、問題が親(人)のせいとは考えないのです。
親が問題なのではない、問題が問題なのだ
子供の問題行動が親のせいではないなら、誰のせいなのでしょうか?
家族療法・システムズアプローチの本を読んで、そのテクニックの一つ問題の外在化をいう考え方があります。
近年、家族療法やブリーフセラピーの分野では「外在化」と呼ばれるテクニックが人気です。これは簡単に言うと、「人」と「問題」を切り離す作戦です。種々の心理的な問題は人間の内部にあるのではなく外部のあるのだと考え、そのような扱いに徹する一連の治療的な会話です。
マンガでわかる家族療法 親子のカウンセリング編(P149)
どういうことでしょう。具体例が次に続きます。
たとえば、「Aさんはすぐにイライラする」といった表現。これは「Aさん=すぐにイライラする人」、つまりAさんの特性としての語りなのですが、もしもこれを「Aさんはすぐにイライラ虫にやられてしまう」と表現するとどうでしょうか。この場合、Aさんは「イライラしやすい人」ではなくて、「外部にいるイライラ虫に困らされている人」といった意味合いになります。このように、本人の特性・性格傾向が問題なのではなくて、問題は外部にある何ものかであるとするのが外在化の基本です。
マンガでわかる家族療法 親子のカウンセリング編(P149)
人が問題ではなく、問題が問題であるということです。問題の外在化は、人に対して非常に優しい考え方だと思います。
例えば、不登校を不登校虫が取りついたと意味づけしたとします。不登校問題の外在化です。すると、不登校問題への取り組み方が変わります。どう変わるかといいますと、外在化前までは「子供と親の対立」だったとすると、外在することで、「親子協力vs不登校虫」というように、親子対立から親子協力構造に変えることができるからです。
「お前は何で学校に行けないのだ!」よりも、「一緒に不登校虫をやっつけよう」の方が、親子関係は断然いいですよね。そして、その関係の変化が不登校問題の早期解決につながるかもしれないのです。
問題の外在化は、どんな場面でも使えるか?
私は、問題が起きた時、「原因は何だ?誰のせいだ?」と原因追及をするタイプです。「原因特定より解決が先。起きてしまったことはしょうがない、次から気をつけよう。再発防止しよう」そうやってその場を収めるのは大嫌いだからです。
先に問題解決を優先するのが悪いわけではありませんが、多くの場合、問題が解決してしまえば原因追及しないことがほとんどです。すれば泥沼になるでしょうし、そもそも大抵の原因は上司だったりするからです。そして原因追及しないため、また同じような問題を繰り返すわけです。うんざりしますね。
一方で、原因追及は人を責めることになるため、自己嫌悪になります。私は口が悪くどうしても言いすぎてしまうことがあり、言いすぎて後から自己嫌悪するという悩みを抱えてました。それに、人の間違いを責めるということは、自分が問題を起こしたときに容赦なく責められてしまいます。ブーメランですね。
問題の原因を追及するのが大事だとしても、追及することで自己嫌悪になる。なんとも言えないジレンマですが、だからこそ、外在化の考え方は普段から癖つけておきたい心理スキルです。なぜなら問題を問題にすればよく、人のせいにしなくて済むからです。
問題を主語にして会話する
外在化の考え方に出会ってからは、人のミスを注意するときも表現を変えることができるようになりました。
以前は「なんでミスをしたんだ?」と言う表現方法しか知りませんでしたが、外在化を知った後は「どんな状況のときに、ミスにやられた?」というような言い方ができます。
前者の言い方だと人を責めてますが、後者の言い方だと人を責めていないのがわかりますでしょうか。
こういう言い方をすると、キョトンとされることがあります。問題を主語にしているので、日本語として違和感があるからだと思います。しかし、人を責め、傷つけるよりマシなので、今後も使い続けたいテクニックです。
そして親子関係では、子供を責めないためにも多用したいところであります。
マンガでわかる家族療法 親子のカウンセリング編:まとめ
子供の問題行動は子供のせいでも親のせいでもなく、問題のせいと考えることで、複雑な家庭の問題に対し客観的な視点を持つことができ、解決の取り組みがしやくなります。ただし、不登校のような重いケースの場合、たとえ家族療法を学んでいたとしても、家族内だけで解決するのは難しいと思われますので、スクールカウンセラーなどの専門家や地域の力を借りることが重要です。
なお、本書で紹介されている事例で使われているテクニックは、「問題の外在化」以外にも次のようなものがあります。
肯定的意味づけ
リフレーミング
プリテンディング処方(何かのフリをさせる処方)
ジョイニング
治療として使うのは素人には無理ですが、普段少し意識して使うだけで、人間関係を好転させることに役立つと思います。
家族療法(システムズアプローチ)を学ぶことは、自分がカウンセラーでなくても、役に立ちます。ご興味がある方は、ぜひ漫画でよいと思いますので読んでみていただき、良好な人間関係を築くためのヒントを得ていただければ嬉しいかぎりです。