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まじめな人ほど損をする世の中、なんとかならないものでしょうか。職場では、仕事をやらない方が得なのかと思うことが多々あります。管理ができない上司、仕事ができない同僚や部下。そんなメンバーと一緒に仕事をしている人は、なんでもかんでも自分で仕事を片付けることになり、疲弊していることでしょう。
自立マインドの人は、きっと「今の状況が嫌なら自分の力で稼ぐようになって会社を辞めればいい。」と自分自身の責任として前向きに考え、自分の力で人生を変えようと、転職あるいは起業するためにも、仕事しながら勉強しスキルアップを目指すでしょう。混雑した通勤電車内では本を読み、睡眠不足であっても夜中に勉強を怠らないかと思います。
しかし、そうして今日も睡眠時間を削って一日最後の努力をしていても、その努力は報われないかもしれませんので注意が必要です。
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目次
忙しい社長のための「休む」技術|ダイレクト出版
休みが必要なのは社長のだけではない!
この本のタイトルは、『忙しい社長のための「休む」技術』ですが、内容は『社長』だけでなく、サラリーマンも当てはまります。
また、タイトルで強調されてる「休み」ついての話は、第2部で扱っているくらいです。本全体としては、休むこと以外の話もあります。本のタイトルから受ける印象と読んで受ける印象が一致しません。個人的には、そんな本は不満が残るのですが、この本に関しては全く不満がありません。
というのも、いい意味でタイトルを裏切っており、想像以上に大きな気づきを得ることができる本だったからです。私が読了したダイレクト出版の本の中でも、トップクラス良書だと思います。
4つのエネルギーと4つのニーズとは
人が持てる力を最大限に発揮するには、4種類のエネルギーが必要です。
ではその4つは何でしょう?
それは、以下の4つです。
身体(持続可能性)
情動(安全)
頭脳(自己表現)
精神(存在意義)
そして、この4つには鍵となる4つのニーズがあります。
身体 | 持続の可能性のニーズ(栄養、健康な体、睡眠、休息) |
情動 | 安全と幸福感のニーズ(他社に受け入れられている、自分の価値が認められている) |
頭脳 | 自己表現のニーズ(自分が持つスキルや才能を世の中で効果的に使う) |
精神(存在意義) | 存在意義のニーズ(職場などで自分の存在を認められたい) |
ご自身が社長なら部下や、あるいは自分自身の、この4つのニーズに応えてエネルギーを得るにはどうしたらよいかが、この本から学べることであり、読んでいるうちに付箋だらけになると思います。
持続可能性/身体:睡眠不足な勉強の影響
努力が無駄になる?自分自身への拷問か?
本書、第2部持続可能性/身体では、睡眠の大切さが語られております。冒頭で述べましたが、まじめな社会人ほど無駄に努力をしているかもしれません。まずは次の引用文をお読みください。
国際人権団体アムスティ・インターナショナルは、長期にわたって睡眠を奪うことを拷問のリストに含めており、イラクやアフガニスタンの戦争でも尋問の戦術として広く使われた。イスラエルのメナヘム・ベギン首相は回顧録『白夜のユダヤ人』の中で、彼がソ連のKGB(国家保安委員会)の刑務所に入れられていた間に、眠りを奪われた経験を生々しく語っている。
「尋問される囚人の頭の中に、かすみが形成され始める。精神がひどくすり減り、足元がおぼつかなくなり、望みはたった1つ、眠ることだけになる・・・この欲望を経験した者なら誰でも、飢えや渇きでさえ、これほど強くはないとわかる」。それにもかかわらず、睡眠は私たちの多くが真っ先に犠牲にしようとする行動の1つでもある。これは、睡眠をとらないほうが生産性は上がるという誤った仮定に基づいている。
忙しい社長のための「休む」技術(P79)
国際人権団体アムスティ・インターナショナルは、長期にわたって睡眠を奪うことを拷問のリストに含めており、
睡眠は私たちの多くが真っ先に犠牲にしようとする行動の1つでもある
こう述べられているように、睡眠を奪うことは拷問なのです。自分自身のこととはいえ、努力のために睡眠時間を削ることは、拷問と同じことなのです。
だからこそ、ここで少しだけ考えてみていただきたいのが、「拷問して幸せになれるのか?」という自問です。
愛する子供の寝顔を守るため、お義父さま、お義母の大事な娘で自分の妻の幸せを約束するため、何より自分の人生に自分で責任を持つため、日中帯は全力で仕事して、夜は睡眠時間を削って勉強する。
でも、その勉強のせいで体を壊してしまったら、幸せは手に入るのでしょうか? 努力したせいで体を壊わすこと。それこそ努力が実らない理由ではありませんか。
逆に、体を壊してまで手に入れた幸せにどんな意味あるのでしょう? それは幸せと言えるのでしょうか。
私は先ほど引用した内容が非常に響きまして、睡眠を削った努力は美学だと思わないようにしました。そして、睡眠時間を確保しつつパフォーマンスあげるためには、タスク管理や時間の使い方を工夫した良さそうです。
よい睡眠をとる方法については、本書P86で解説されております。一例として次のようなことが語らております。
・電気を消す少なくとも30~60分前から気持ち鎮める
・頭の中の不安を「いったん脇に置いておく」⇒自分が不安に思っていることをノートに書き出す
体を休めることもスキルアップの一つです。積極的に取り組んでいきましょう。
安全/情動:他人から命が狙われる理由
自信心を傷つけるな!
第3部は、安全/情動についてです。まず、P177ページから一部を引用します。引用文の『彼』は、ニューヨーク大学の精神医学教授ジェームス・ギリガンです。ある刑務所で受刑者の診療にあたったときのやりとりです。
「君はいったい何を求めているんだ?」と、彼は受刑者に尋ねた。「ほかのすべてをあきらめてでも手に入れたいものというのは、いったい何なんだ?」。その受刑者は普段、ぼそぼそ話す男だったので、彼の言葉を理解するのは難しかった。ところが、そのときは突然立ち上がると、ギリガンの質問にはっきりと答えた。「誇り。威厳。自尊心」。それから、こう付け加えた。「それを手に入れるためなら、あの監房棟にいる連中全員を殺してやる。誇りを失うのは、すべてを失うのと同じことだ」。
人から尊敬されたいという欲求は、原始的な生存本能に基づいたものだ。
忙しい社長のための「休む」技術(P177)
この一文を読んだとき、ぞわっとしました。「私は一体、今まで何回殺されていることになるのだろう・・・」と。自尊心を傷つけられた時、「傷つけた相手は殺すに値する」と考える人もいるのです。
よくよく考えてみれば、職場は自尊心を傷つけ合う場所です。だからと言って殺人事件は起きません。自尊心を傷つけられたことが相手を殺すに理由になるとしても、多くの人は本当に殺したりはしません。
だからストレスが溜まるわけですが、そのストレスはどこに向けるのでしょうか?
自分より弱いものへ向けるか、もしくは、まじめな人ほど自分に向けるでしょう。
その結果、鬱病や適応障害になってしまう人もいます。やるせない話です。人である以上は、お互いの自尊心を大事にすることを改めて心に刻みましょう、殺されたくないならば。
自尊心の大切さは、D・カーネギーの「人を動かす」でも強調されてます。ご参考までに読まれてはいかがでしょうか。
その他、学べること
とにかく付箋だらけになったこの本ですが、他にも読みどころはたくさんあります。
「こんな簡単な方法で価値観がわかるのか!」と、衝撃を受けてしまいました。目から鱗だったからです。自分がもっとも大切にしている価値観を知ることは、自分の行動の一貫性を保つ上でとても重要なことです。でも、なかなか自分では気が付かないと思います。 あなたが最も大切にしている価値観を思い出させる3つの質問とは?
しかし、P302の3つの質問は、ものすごく簡単に自分が最も大切にしている価値観をあぶり出すことができます。
食べる量について
1人前のサイズってどれくらいかご存知ですか?
多かろうが少なかろうが、人は〇〇で食べるわけです(P127)。欠乏感は敵。この本で紹介されている方法で食べることが、ダイエットするコツと言えるのかもしれません。気になる方はP127を読みましょう。
現実的楽観主義って何だ?
出来事をどう受け止めるかは、自分の考え方次第。楽観主義でもない、悲観主義でもない、現実的楽観主義の見方は、最善の結果を得られるように、最大限の努力をするための燃料を与えます。現実的楽観主義の見方を学ぶのは、無駄なエネルギーを使わなくて済みます。
ADHDと普通の人の違いは?
ADHDと普通の人にどんな違いがあるのでしょうか?
実は、P239ページのADHD5つの特徴を読んで見ると、ほとんどの人がADHDに当てはまっていることがわかります。
などなど。
まだまだ学べることはたくさんありますし、幅広くまとまっている本だと思います。この本で得た知識で、仲間を助けてあげることができるなら素晴らしいことではないでしょうか。
忙しい社長のための「休む」技術:まとめ
自分も相手のも睡眠不足を解消しましょう
睡眠不足でも努力する人は、スキルアップを目指していると思います。しかし、忘れてはいけないのが、休むスキルもアップする必要があるということ。休むスキルをアップさせないと、せっかくの努力が無駄になるかもしれません。
体はしゃべれません。つらいとは言わない。心がやれと命じたら、つらくても頑張ってしまいます。そして、いつかは壊してしまいます。
たしかに休んでいる時間がもったいないと思う気持ちがあると思います。休むくらいなら勉強して少しでも知識を増やしスキルアップしたいでしょう。しかし、長い目でみれは健康であることは効率的です。積極的に休ませましょう。また、部下がいる人は、自分だけでなく部下の睡眠不足解消にも気を遣いましょう。
これからは、休むスキルアップも目指していただければ幸いです。