現在は、うんざりするほど情報過多の時代です。デマも真実も関係なし、情報が溢れかえってます。そしてデマや犯罪スレスレでもいいから注目を集め、ちゃんねる登録数が増えて影響力を与えることが出来れば、Youtuberとして食べていけるかもしれない。そんな時代です。
そして2021年8月はコロナ過で日本も世界も不景気です。会社に属していても生活が保障されるとは言えません。そんななかで、個人が正攻法で自立し生きていくために、注目を集め、影響力を得るにはどうしたらよいでしょう。マーケティングすればよいのでしょうか。確かにそれが正解かもしれませんが、大手に勝てるわけがありません。稼働がかかるし、ライバルも多く、しんどいこと間違いなし。
では、圧倒的な個性で注目を集めるという方法はどうでしょう。そういう個性があるならパワーで注目を集めることが出来てよいと思いますが、「自分には個性がない、つまらない人だ」と思っている場合、個性派だらけの人達の中で注目を集めることができるでしょうか。イメージしずらいと思います。
しかし、悲観することはないようです。なぜなら、注目を集めるテクニックがあるからです。
目次
アテンション(Attention)
注目が希少資源な理由
本書は、どうすれば人の注目を集め継続せる3つの段階と、その3つの段階の継続に必要な7つのトリガーについて、体系的に書かれた本です。
自分の芸術作を認めてもらいたい? 自社製品を作ってもらいたい? 自分のコンテンツを読んだり見たりしてもらいたい? 自分の研究を認めてもらって、みんなと共有したい? 応援している慈善活動とそのスローガンをもっと多くの人に知らせたい? ひとめ惚れの相手に振り向いてもらいたい? 生徒たちに携帯電話を見るのをやめさせ授業内容に注意をむけさせたい?
本書は、いまあげた質問のどれかにイエスと答えた人のためにある。アテンション(P12)
学ぶことで、アイデア出し、ヒット商品の開発、または、個性がないけど発信し注目を得たい人にも役に立つ内容だと思いますが、役立てるためには注目というものを理解しておく必要があります。
というのも、現代は情報過多の時代で情報が溢れかえっております。そんな時代に成功するためには、いかに注目されるかことが大事です。どんなに良い製品を売るにしても多くの人に注目されなくては、大きな利益をあげることができませんし、どんなに面白い動画を作成しても、誰にも視聴してもらえなければ、収入はありません。
しかし、注目は大事であると認識していながら、「注目は気をひくことである。」と単純に考えていたとしたら、それは大間違いのようです(=私のことです)。
ここまで情報量が増えた理由のひとつとして、コンテンツの作成が容易になったことがあげられる。一九八六年には、ブログも、ステータス・アップデートも、<ユーチューブ>や<インスタグラム>〔写真に特化したSNS〕もなかった。
~(中略)~
われわれの注意力はとうていすべての情報に行き渡らなくなった。手元のデータが増えれば増えるほど、それを消費するための注意力は細切れになってしまう。その結果、「注目」は希少資源になった。アテンション(P9)
誰でも情報発信しやすくなったせいで情報が溢れる時代になったことで、情報受診者の情報をさばく量が増えたわけであります。結果、注意力が消耗品になってしまいました。
「明らかに、人は同時に複数の活動をできるだけ多くこなそうとしています。」カリフォルニア大学サンフランシスコ校、神経科学科長のアダム・ギャザリー博士はぼくに言う。しかし、研究によると、マルチタスクと注意散漫というのはよくない傾向だ。注意が一度それると、もとに戻すのに二三分かかる、カリフォルニア大学アーバイン校の研究は指摘している。一般の人の注意は三分ごとにそれるので、この罠から逃れるのは難しい。
~(中略)~
要するに、「注目」が希少資源になっただけでなく、日頃の習慣によっても、うまく集中できなくなっているのだ。
アテンション(P10)
なんと消耗品である注意は3分でそれるとのことなのです。発信者は、自分や自分の商品に対し、注目させ続けるのが難しいことをあらためて認識しなくてはなりません。
もはや注目を、「気をひくことである。」と呑気に考えている場合ではなく(私、本当に反省しております)、情報発信者にとって、情報受信者の注目はライバルとの取り合いになっているのです。
注目とは何なのか? そんな希少価値である注目を集めるにはどうしたらよいのか? そのことを真剣に考え、疑問の答えを得ること。そうしなければ、取り合いに負けてしまいます。だからこそ、その疑問の答えを得るために、本書を読む価値があるわけであります。
注目とは焚き火である
俳優で、評価の高いドキュメンタリー映画『ティーンエイジ・パパラッチ』の監督でもあるエイドリアン・グレニアーは、注目を得ることを火をおこすことにたとえてぼくにこう言った。
「まず何かに火をつけなきゃならない。点火しやすい小さい落ち葉や小枝を使って火をおこす。次に少し大きな薪に移り、最後は完全な焚き火になる。つまり最初は注目に点火する何か必要で、そこからなんとか燃やしつづけるんです」
グレニア―のたとえは的を射ている。焚き火と同じように、注目を継続させるには段階を踏まなければならないのだ。くわしく言うと、三段階だ。アテンション(P10)
焚き火にたとえられている注目の3段階とは次の3つになります。
①点火:「即時の注目」を得ること=まわりの世界に対する人々のすばやい無意識の反応。
②藁火(わらび):「短期の注目」の獲得を目指す=特定の出来事や刺激に対する人々の短期的な集中。
③焚き火:「長期の注目」の獲得を目指す=人々の興味を途切れなく、深くつなぎとめた状態。
よくよく考えてみますと、この3段階と似たプロセスを多くの人はご存じなのではないでしょうか。というのも、①と②は見込み客、③リピーターと思われるからです。つまりマーケティングと似ているのです。
しかし、「なあ~んだ、マーケティングの本か」と思って読み進めると、すぐに著者に怒られます。
手軽なマーケティング手法の手引書でもないし、注目に関する科学書や教科書でもない。こうしたテーマや視点で書かれた良書はほかにいくらでもある。
むしろこの本は、「注目が動く仕組み」を解き明かそうとする。業界や状況を問わず、ターゲットが誰であろうとも、彼らの注目を得るトリガーに的を絞る。注目とわれわれの関係を探り、注目によって仕事や生活のすべてが変わりうることを示す。科学と実際的な手法を用いて、メッセージや目標、製品、アイデアに注目の焚き火を燃やすことを目指す。
~中略~
とりわけ、何かを世に広めたいという情熱を一度で持ったことのある人の心に響く本であってほしい。本書で紹介するヒントによって、読者が雑音のなかでも認識され、大声を張り上げなくても聞いてもらえるようになることを祈っている。アテンション(P18~19)
このように「マーケティング手法の手引書でもない」と言われてます。事実、本書を最後まで全ページ読むと言われている意味がおわかりいただけると思います。本質的なのです。
2021年8月の現在、2020年1月から続く新型コロナウィルスが猛威をふるい、政府の施策である緊急事態宣言が度重なった影響もあり、日本経済はガタガタです。今から自分自身の力で稼がなくてならない人にとって、本質的である情報は非常に役立つのではないかと思われます。
それは「雑音のなかでも認識され、大声を張り上げなくても」という著者の言葉に現れていると私は感じております。
注目を集める7つのトリガー
注目には、即時・短期・長期の3段階があるのはわかりました。そして、この3段階の注目を集めるために欠かすことができないツールが次の7つのトリガーです。
自動トリガー・・・色やシンボルや音などの感覚的刺激を与え、無意識な反応を引き起こして注目させる。
フレーミング・トリガー・・・相手の世界観にしたがうか、それを覆すことによって注目させる。
破壊トリガー・・・人々の期待をあえて裏切り、注目するものを変えさせる。
評判トリガー・・・専門家、権威者、大衆の評価を用いて信頼性を高め、相手を魅了する。
ミステリー・トリガー・・・謎や不確実性やサスペンスを作り出して、最後まで関心をつなぎ止める。
承認トリガー・・・自分を承認し、理解してくれる人には注目するものだ。そうして深い結びつきを育てる。アテンション(P16~17)
マーケティングを実践している人や学んでいる人なら、お馴染みかもしれませんが、きっと、マーケッターにも役立つ内容だと思います。本書は事例を紹介しながらそれぞれを丁寧に説明されているので、詳細を知りたい方はお読みいただければと思います。
さて、注目とは、3つの段階(即時・短期・長期)と、注目を集める7つのトリガー(自動・フレーミング・破壊・評判・ミステリー・承認)を含めたものだということがわかりました。
しかし、勘のいい人はこう思うかもしれません。「本当に、3つの段階と7つのトリガーを駆使することで、個性がない人でも注目を集めることができるのか?」と。
個性がない悩み、それでも注目を集めるためには?
たしかに、3つの段階(即時・短期・長期)と7つのトリガー(自動・フレーミング・破壊・評判・ミステリー・承認)を駆使することで、注目を集めることができるのは理解できます。
しかし、書籍化されたということは皆が本書のテクニックを使うことができるようになるわけですから、個性がある人や大きな組織が、3つの段階と7つのトリガーを駆使したら、個性のない個人に勝ち目がありません。結局、強い者が勝つのが世の常、やはりマーケティング力や強烈な個性が求められるのではないかという展開になります。
「本当に、3つの段階と7つのトリガーを駆使することで、個性がない人でも注目を集めることができるのか?」と疑問がわいて当然です。実は私も最後まで読んだとき、同じ疑問を持ちました。しかし、小林弘人氏の解説を読んで気づくことがありました。
ほとんどのトリガーはあなたが置かれた状況や相手によって、具体的な手法が変化する。なので、わたしからのアドバイスは、まず、「相手を知ろう」である。それには、ペルソナといって、顧客を具体的かつ存在する人のように描く手法があり、それがもっとも有効だろう。
アテンション(P297)
「注目は、気をひくことである。」と考えていたのは浅はかでしたが、3つの段階と7つのトリガーを駆使すれば注目を集めることができると思っているのも浅はかなのです。解説の小林氏が言うように、相手を知ること(ペルソナ設定)で、7つのトリガーが効果を発揮するのでしょう。
ですから、「たとえ個性がなくとも、相手を知り相手のために自分ならどう役に立つことができるかと考え、3つの段階と7つのトリガーを駆使して発信することができたなら、注目を得ることができるのではないか。結果として、それが自分の個性になるのではないか」と、そこに気づいたのです。
個性がないのはマイナスではなく、これから創ることができると思えば、決して悲観することではなく、またチャンスだと思うのです。
アテンション:まとめ
注目を制して何を手に入れるか
注目には3つの段階があり、注目を集め続けるには7つのトリガー欠かせないことがわかりました。たとえ個性がなくとも、相手のために何ができるかを考え3つの段階と7つのトリガー駆使すれば、個性を創ることができるかもしれません。そう、個性を発揮するのは後でもいいのではないでしょうか。
しかし忘れてはならないのが、3つの段階と7つのトリガー強力なツールであるならば、相手を騙すつもりで発信すれば、楽に儲けることができるかもしれないということです。今は不景気ですから、楽に設けるために悪用する人が増えるかもしれません。もし、悪用されたとしたら、それは残念なことです。
「何かを世に広めたいという情熱を一度で持ったことのある人の心に響く本であってほしい。本書で紹介するヒントによって、読者が雑音のなかでも認識され、大声を張り上げなくても聞いてもらえるようになることを祈っている。」という著者の言葉、「相手を知ろう」という解説者の言葉、これらの言葉から3つの段階と7つのトリガーをどう使うかは、読み手のモラルにかかっております。
できれば、コロナ過の不景気で希望が持てなくなった人達が希望が持てるよう、自分の個性を発揮するために使用してほしいと願うばかりであります。